みんゴロ古文読解
し 。まいて、もの見に出で む とてあるに、「こと 、うちすて ても往ぬべきここちぞする。また、人の歌の返し とく すべきを、 え 詠み得 ぬ ほども 心もとなし 。 懸 け 想 さう 人 などはさしもいそぐ まじけれ ど、 おのづから またさるべきをりもあり、まして、女も、ただに いひかはすことは、ときこそはと思ふほどに あ いなく ひがごと もあるぞ かし 。 でいると、別のほうへ行ってしまうのは、大変 残念あ 。とりわけ、祭りの行列見物に出掛 け よう と思って待つうちに、「行列はもう通っ て いるでしょう 」と、だれか が 言ったのを聞くのは、 つらことだ 。 祭りの行列見物や、お寺 参り などで、一緒に 行く 予定になっている 人を乗せに行った ときに 、 牛車の後の口を建物につけて待つが、 すぐに 乗 ら ないで こちらを待たせるのも、大変 気がかり で 、捨てておいて出発してしまいたい気がする。 また人からの歌の返事は 早く しなければなら ないのを詠むことが できない ときも、 気がか りだ 。相手が 恋人 などである場合は、それほど 急ぐ 必要もないだろう が、 自然と また、急がね ばならぬ場合もありまして、女性同士の場合も、 直接にやりとりする歌の返事では、早いのがい いと思うので、 つまらない 返歌をして 間違い を するこもあるものである よ 。 はなり ぬらむ 」と人 の いひたるを聞くこそ わびし けれ 。 もの見、寺 まうで などに、もろともにある べき 、車をさしよせて、 人を乗せに行きたる に とみに も乗ら で 待たするも、いと 心もとなく
9 第一部
73
Made with FlippingBook flipbook maker