みんゴロ古文読解
しひて 御 み 室 むろ にまうでてをがみたてまつるに、 つれづれ といともの悲しくておはしましければ、やや久しく さ ぶらひ ていにしへのことなど思ひいでて 聞え けり。 さ ても さぶらひ てしがな と思へど、おほやけごとどもあ りければ、 え さぶらは で 、夕暮にかへるとて、 忘れては夢かとぞ思ふおもひきや 雪ふみわけて君を見むとは とてなむ泣く泣く来にける。 て御庵室に参上して拝謁申し上げると、 所在なく た いそう悲しくていらっしゃったので、しばらく おそ ばにお仕えし て、昔のことなど思い出してお話し 申 し上げ た。 このまま おそばにお仕えし たいものだ と 思うけれど、いろいろな公の行事があ お 仕えすることも できないで 夕暮れに帰るとって、 =現実であることを忘れて、夢ではないかと思いま す。想像していたでしょうか、このように雪を踏 み分けてやってきて親王様にお会いしようとは。 といって泣く泣く帰ってきた。
第二部
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