みんゴロ古文読解
よま とよめるときに、帝、 つらし 水ぞひ なまし とよみたまひけり。さてこの池に墓せさせたまひてな む、 かへらせおはしましけ なむ。 池の玉藻と見るぞかなしき 猿沢の池も かづかば 玉藻
たまひて、池のほとりに大 御 ご 幸 かう したまひて、人々に歌 せたまふ 。柿本の人麿、 わぎもこが寝くたれ髪を猿沢の なわぎもこが
第二部
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上げ たので、お知りになった。帝はたいそうひどく 気の毒にお思いになって、池のほとりにお出かけな さって、人々に歌を詠ま せなさる 。柿本人麿が、 =いとしい乙女の寝乱れ髪を、猿沢の池の美しい藻 と思って見るのはとても悲しいことです。 と詠んだ時に、帝は、 =猿沢の池も 薄情なこと だ。いとしい乙女が池に沈 んで、美しい藻の下に 潜ったならば 、水が干上れ ばよかったのに 。 とお詠みになった。こうしてこの池に墓を作らせな さって、帝は お帰りになった ということである。
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