みんゴロ古文読解

 「まし」という助動詞は「未然形+ば~まし」とい う形で反実仮想を表すもので、多くは「ましかば~ま し」「ませば~まし」となる。今回のように「かづか ば~まし」となっても基本的には同じなで、あわて ないあわてない。ただ、古文文法・虎の巻でも取り上 げているように、 「なまし」の「な」が強意の助動詞「ぬ」

が歌を詠み、また帝も自分の悲しい気持ちを歌い上げ ている。今回の古文文法・虎の巻では取り上げなかっ たが、 「かづかば~まし」という箇所が反実仮想になっ ており、解釈上とても大切。

12 『大和物語』 も二回目の登場。今回のお話は悲恋話。 帝に恋い焦がれた美しい女性が、その愛を貫くために 池に身を投げて死んでしまうというもの。 今回は 『万葉集』を代表する大歌人、 柿 かきの 本 もとの 人 ひと 麻 ま 呂 ろ ゴロゴプレミアム講義

第二部

2

の未然形であることには注意してほしい。 反実仮想というのは「現実の反対を仮に想像する」 という意味で、ここでは「乙女が池の美しい藻の下に 潜ったならば、水が干上がればよかったに」と言っ ているわけだから現実には「乙女が身を投げたのに、 水は干上らなかった(から死んでしまった)」という ことになる。ちょっと悲しい現実だね(涙)。 古文文法・虎の巻で取り上げた 「なむ」の識別は超・ 重要文法 で、今回の文章では、係助詞の「なむ」が三 つ出てきている。そのうちの二つは「なむ→ける」 「な む→ける」と 係り結び を形成しているが、最後の「と なむ」の箇所は結びが省略されている。ここでは「聞く」 あるいは「いふ」が省略されており、 「~と聞いている」 「~ということだ」の部分を補っやることが必要に なる。 説話の終わりは今回のように「となむ」なる ことが多い ので、ここで覚えておこ。

97

Made with FlippingBook flipbook maker