みんゴロ古文出典
易 難 入試 出題箇所を チェック ! 上位大に出題が多く、 要注意。ストーリーと 人物関係を押さえてお きたい。 次の文章は不遇な生活を送っている落窪の姫君に興味を持った少将が突然訪れる場面である。 女君、人なき折にて、琴 こと いとをかしう なつかしう 弾き 臥 ふ し給へり。帯 たちはき 刀 をかしと聞きて、 「かかるわざし給ひけるは」と言へば、あこき、「 さかし 。故上の、六歳におはせし時より 教へ奉り給へるぞ」と言ふほどに、少将いと忍びておはしにけり。人を入れ給ひて、 「聞こゆべきことありてなむ。立ち出で給へ」と言はすれば、帯刀心得て、 おはしにけると思ひて、心あわただしくて、「ただ今対面す」とて、出でて往ぬれば、 あこき御 前 まへ に参りぬ。 少将、「いかに。かかる雨に来たるを、 いたづらに 帰すな」とのたまへば、帯刀、 「まづ御 消 せう 息 そこ を給はせて。音なくてもおはしましにけるかな。人の御心も知らず、 『 落 おち 窪 くぼ 物 もの 語 がたり 』 立教大学 姫君は人のいない折なので箏の琴をたいそう上手に、 上品に 弾いていらっしゃる。帯刀は見事なものだと聞きほれ、 「姫君はこんな芸事をなさるのだねえ」と言うと、あこきが、「 そうなの 。亡くなった母上が、姫君が六歳でいらっしゃったから お教え申し上げなさったのです」と言っているところに、少将がこっそりと忍んでいらっしゃった。帯刀の所へ供人をお遣わしになって、 「お話し申し上げるべきことがあって来ました。ちょっと出てください」と供人に言わせるので、帯刀は承知して 少将がいらっしゃったのだと思って、あわてて、「今すぐに会います」と言って出て行ってしまうので、 あこきも姫君の御前に参上した。 少 将 は、「 ど う だ、 こ ん な 雨 の 中 を 来 た の だ か ら、 無 駄 に 帰 す な よ 」 と お っ し ゃ る の で、 帯 刀 は、 「 ま ず お 手 紙 を く だ さ い。 突 然 い ら っ し ゃ っ た も の で す ね え。 姫 君 の お 気 持 ち も わ か ら ず、 DATA FI LE
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