みんゴロ古文出典
う。女は蔵に籠もったまま男の顔を見ることもできず、 「私のこの身の上を知らずにあの人が私に逢えると思っ ているのは悲しいわ」と思う。男は女の所と流された国を 行き来しながら、「無駄に行って帰ることを繰り返してい るが、逢たさにつられて出かけてしまうよ」と
壺 歌った。女は思い悩んで実家へ下がると、男はかえて 好都合だと女の実家に通った。男は次第に朝廷での出世 の道が危うくなり、仏や神に「想いを断ち切れないみっと もない心をお直しください」と祈り、陰陽師や神巫にお 祓いをしてもらったが、恋心は増すばかり。
桐 男は「あなたを想う気持ちは逢うことをこらえる気持ち に勝るのです。逢えるならどうなってもかまいません」と
た。女が泣いて過ごしていると、毎晩男流された国か らやってきて、笛を吹きならしみじみと美しい声で歌
● ● やがて帝の耳にこの話が入ってしまい、男は流罪となっ た。女のいとこの天皇の母も、を蔵に押し込めてしまっ ある。 すべての話が「昔男ありけり」ではじまり、 「となむ語られけるにや」で結ばれている。 歌物語は他に『大和物語』
3 位 3 位 六五段 昔、天皇が寵愛している召使いの女がいた。その女は 天皇の母のいとこだった。ところが殿上の間に仕えてい た在原という男とこの女が懇意な仲となってしまった。
1 第 位 ~ 第 位 10
伊勢物語入試ポイント ●
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825 880 内容は実在した六歌仙の一人在原業平 ( ~ )の一代記風。 『平中物語』が
別名を『在五中将物語』『在中将物語』 『在五が物語』と言う。
文中には和歌が一首以上含まれており、入 試では和歌の解釈・修辞法が問われやすい。
師 ・ 大 伴 黒 主 ・ 文 屋 康 秀 ・ 小 野 小 町 。
六歌仙は 在 あり 原 わらの 業 なり 平 ひら ・ 僧 そう 正 じょう 遍 へん 昭 じょう ・ 喜 き 撰 せん 法 ほう の
し
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ともの
くろ ぬし
ふん やの やす ひで
お
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まち
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