みんゴロ古文出典
1 第 位 ~ 第 位 10
「 」 惟喬親王は文徳天皇の第一皇子で帝からも寵愛されていた が、藤原氏が権力を握っていたために皇太子になれなかっ た。 「右の馬の頭」は六歌仙の一人である在原業平のことで、 惟喬親王の義理の従兄弟である。不遇な境遇が似ているこ ともあって二人は交が深かった。 ★ 最初の和歌の せば~まし は反実仮想。「もし~だっ たら~だったろうに」と訳す。現実に反して仮にある 状態を想像し表現であるので、 の状態を訳に活 かすようにする。 ★ 二つ目の和歌の なにか~べき は反語の用法である から いや~ではない という訳を書き加えておくの がよい。 「 」 「 」 読解ポイント
とて、その木のもとは立ちてかへるに、日ぐれになりぬ。御 供 とも なる人、酒をもたせて野より 出で来たり。この酒を飲みてむとて、よき所を求めゆくに、天の河といふ所にいたりぬ。 親王に馬の頭、大 御 み き 酒 まゐる 。親王ののたまひける。「交 かた の 野 を狩りて、天の河のほとりに至る を題にて、歌よみて盃はさせ」と のたまう ければ、かの馬の頭よみて 奉 たてまつ りける。 狩り暮らし たなばたつめに 宿からむ 天の河原に 我は来にけり 親王、歌を返す返す 誦 ず じ たまうて、返し え し給は ず 。 と詠んで、その木の下を立って帰ると、夕暮れになった。お供の人が、部下に酒を持たせて野原を通って 現れ。この酒を飲んでしまおうというわけで、酒宴によい場所を探し求めて行くうちに、天の河という所に行き着いた。 親王に馬の頭がお酒を お勧めする 。親王がおっしゃったことには、「交野で鷹狩をして、天の河のほとりに到着する というのを題にして、歌を詠んでからその盃をさせ」と おっしゃっ たので、例の馬の頭が詠んで差し出した歌、 ○夕暮れまで狩をし、今夜は織女に宿お借りしよう。 なんと天の河原にわたしは来たのだなあ。 親王は、その歌を何度も繰り返し 朗詠 なさっていて、返歌を作ることがお できになれない 。
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