みんゴロ古文出典
桐 いように任せていた。男は塵ほどの小さな物までも持ち 去っていき、最後に馬に水や飼葉やるため飼い葉桶 が残るだけになった。そしてついにこの飼い葉桶も、夫の
て泣いた。元の妻は「夫に手紙を差し上げるときに、申し 伝えておくれ。や、手紙は決してご覧にならないだろう から、ただ言葉で申し上げてください」と言った。従者は「必 ずお伝えします」と言って、「舟( 槽 ふね )が行ってしまって舟を 漕ぐ 真 ま 楫 かじ ももう見られないでしょう。今日からこのつら い世をどう渡っていこうか」という「 真 ま 楫 かじ 」と童の名前の「ま
3 位 3 位 下 しも 野 つけ の国に長い間一緒に連れ添っている夫婦がいた。と ころが男は別に新しい妻を作り、家の全てのものを新しい 妻の所に運んでいく。元の妻はつらく思ったが、男した 一五七段
かぢ」が掛詞になった素晴らしい和歌を男に伝えると、男 は見事な和歌に感動し、元の妻のところに物を全て戻し、 元の鞘に戻って連れ添ったとさ。
壺 従者であるまかぢという名の童が引き取りに来た。 この童に元の妻が「おまえもこれからはここには姿を見 せないのでしょうね」と問うと、従者は「そんなことはあり ません。ご主人様がいなくても私はここに参ります」と言っ
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大和物語 入試ポイント ●
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成立は平安中期。ジャンルは歌物語。 『平中物語』
「なん~ける」といった日常会話で多用 される係り結びが文中に多い。
打聞的短編集で、後半には「姨 うば 捨 すて 山 やま 伝 説」など説話的な物語を多数収録。
がある。 和歌を中心としながらも、説話的な話 が多い。
歌物語はほかに『伊勢物語』
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