語彙・テーマ
cat ど説明した語で言えば、「捨象」された部分にあたります。 では、水面下の部分は不要なのでしょうか? 違います。筆者は「この見えない部分は、明示的な部分として の概念に、固有の価値を与える基盤と考えてもよい」と述べています捨象された具体的な内容が、「概念」とし ての言葉を支えている。だからこそ、具体と抽象を行き来して、「概念」を更新 していく必要があるのです。 ところで、同じものを指す語でも、言語によってその語 から喚起されるイメージは違います。日本語話者が「猫」 という言葉からイメージするものと、英語話者が「 」という言葉からイメージするものは、微妙に異なるでしょ う。それは、 表面に表れたことばとしては同じでも、言語によって水面下にあるものが異なる からです。 水面下にあるものとは、つまり、それぞれの言語の基盤となっている歴史であり文化です。だとすれば、言葉 は歴史や文化に根ざしたものであると言えるでしょう。この点については、基本テーマ2「言語 ②」でさらに詳 しく解説したいと思います。
解説 前項で、具体的なものを抽象化して言い表す働きをするのが言葉であると述べましたが、抽象化して共通する 要素を取り出してまとめることで「概念」が作られるのですから、端的に 「言葉は概念である」 とも言えますね。 実際に、「概念」であるからこそ、一つの言葉で多くのものを言い表すことがで きるのです。 この例文では、「概念」としてのことばを氷山に例えています。水面の上に表れているのが概念化されたことば の部分、しかし、それは氷山の約七分の一にすぎません。残る七分の六は水面下にあってかくれています。先ほ
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