語彙・テーマ
さらに言えば、お客に座布団を裏返して出したところで、お客がその意味を理解することができなければ、そ れこそ意味がありませんね。座布団に座る習慣のない外国人、本当に意味が分からないでょう。ですから、 座布団を裏返すという しぐさの意味をお互いに理解してこそ、初めてそのしぐさは「象徴」として機能する と言 えるでしょう。「象徴」は「文化的なコード(慣習) 」でもあるのです。
解説 例文では、座布団を裏返すという「象徴的なしぐさ」が例として挙げられています。急な来客があった時など、 お客用の座布団をすぐに用意するということもできません。そのような場合、自分の座っていた座布団を裏返し て出すことで、それが新しい座布団であるという意味を込めます。 もちろん、現に新しい座布団ということではなく、 その「意味」は頭の中で考えられたものにすぎません。 しかし、 裏返すというしぐさその「意味」を表すことができる。 「象徴」は、言葉の働きというだけでなく、しぐさでも 表現しうる のです。
ところで、例文の冒頭で筆者は「日本の家」は「実体の視点からみれば空虚である」と述べています。西洋の 家が客間・食堂・書斎などと用途に応じてはっきりと区別されているのに対して、ちゃぶ台を出せば食堂、机を 並べれば 、布団を敷けば寝室と、日本の家はしぐさ によって役割が変化します。 日本の家はそれ自体が「象徴」 的である と言えるかもしれません。
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