語彙・テーマ
近代の空間が失ってきた 近代建築がめざしてきたの ピロティ、連続窓、ガラスの壁、陸屋根 がりであると考 排除され、 クリッド的な均質 〈例文〉
空間の あらゆる場所は人工的に均質化される ことになった。こう して、場所における違いをもたないユー
えらるようになった。 それと同時に、たがいに異なる意 味や価値を帯びた「場所性」が空間から
はものと空間対象化する。 空間は測定可能な量に還元さ れ、空間を支配するのは距離であり、ひろ
空間ができあがる。 (狩野敏次「住居空間の心身論」)
れ、視覚を中心にした身体感覚の制度化
の発達がそれに拍車をかける。明るい空
るい空間を実現するために開発した装置
のは、実は深さの次元であ は明るい空間の実現であっ は、近代建築が明 である。人工照明 間が実現するにつ
がすすんだ。視覚
た。
る。
183 対象化 「対象」とは、主観が向けられるもののこと。 (P 参照) その前提として、自分(主観)から対象 と なるもの(客観)が切り離されているこ と がある。このように、自分から切り離し て 捉えることを「対象化」と言う。近代科 学 も自然の「対象化」によって成立した。 ユークリッド 幾何学の父とされ古代ギリシアの数学者。 「幾何学」とは図形や空間の性質を探究する 語句
学問で、「平行線は交わらない」などの公理 (論証の出発点となる自明なこと)から組み 立てられたユークリッド幾何学で、日常 空 間については無理なく説明できる。
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