語彙・テーマ

その裏返しで、暗くてよく見えないものはいかがわしいとされます。隅々

解説 例文において筆者は、 近代建築は「明るい空間」の実現を目指してきた と述べています。たしかに、現代社会で は、明るくてよく見えることが評価され、 まで照明がいきわたり、どこも同じ明るであることは、 空間の均質化 を推し進めるうえでも重要な役割を果たし ていす。 しかし、筆者はそれによって近代の空間は「深さの次元」を失ったと指摘しています。 日本では古来、影が醸し 出す奥行きに趣深さを感じ取り、それを「幽玄」と名づけて評価してきました。 「幽玄」を特に重んじたのが、中 世に能を大成させた世阿弥です。世阿弥は『風姿花伝』におい、能の真髄を「花」に例え、「秘すれば花なり」 と述べています。 大事なことをあえて隠すことで、かえってそれを引き立てる。こうした日本の伝統的な美意識は、近代の均質化 された空間の見直しを図るうえ、大いに資するところがあるでしょう。

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