語彙・テーマ
10 基 本 前項で、近代哲学の祖であるデカルトは、あらゆるものを疑い 抜いた結果、「考える(疑う)私」という絶対に疑いえない真理 を発見したと説明しました。デカルトは、理性によって考るこ とに「私」の存在根拠を見出したわけで、 人間は理性的な生き物 物心二元論では捉えきれない身体。 身体
らこそ、物体としての自然を対象化し、因果法則にしたがって運 動しているとみなす(機械論的自然観)ことも可能なのです。こ のような精神と物体の捉え方を、 物心二元論(心身二元論) と言
であるというのは、西洋近代の根本的な人間観となります。 ところで、そのように考える精神としての心を重視する立場か らは、物体としての身体はどのように捉えられるでしょうか? デカルトは、思惟(考えること)を本質とする精神と、 延長(空
間的な広がりを持つこと)を本質とする物体は、それぞれ独立し た実体であると考えました。精神と物体は無関係である。だか
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