語彙・テーマ
こうした日本と西洋における家族間の人間関係の違は、家のあり方にも現れています。日本では、玄関を開け て家の中に入ればもうプライベートな空間です。居間でゴロゴロできす。これに対て、西洋では、個室を出た ら屋外と同じです。きちんとした身なりが求められます。つまり、 内と外の境界が、日本と西洋とでは異なる のです。 西洋のあり方が絶対的に正しいわけではありませんが、 家族の見直しが求められる中で、個人としての自立とい うことも、課題言えるでしょう。
解説 かつてのホームドラマでは、父親が「おい」「あれ」と目も合わさずに言うと、母親は黙ってお茶を持ってくる という場面がよく出てきました。言葉を必要としないほど、「濃い液体でみたされている」ということが象徴的に 表現されています。逆に、そのような場面見なくなったというのは、それだけ家族間の人間関係が希薄化してい るとも言えます。 ところで、言葉を必要としないほど濃密な、というよりも ベッタリした家族間の人間関係というのは、あくまで も日本的なもの であって、西洋では異なります。西洋社会では、子どもであっても個人であると いうのが前提です。 主体的で強い個人あり方を「近代的自我」と言いました (基本テーマ9「エゴイズム」参照) 。それは、 親子であっ ても他人である ということです。ですから、言わなくても分かってもらえるなどという甘えはなく、言うべきこと はきちんと言います。
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