「新・ゴロゴ古文単語」 特典版v1.20
9 12 百人一首 花 はな の 色 いろ は 移 うつ りにけりな いたづらに わが 身 み 世 よ にふる ながめせしまに 小野小町 二 ■ 訳 美しい桜の花の色も、春の長雨が降っていた間にすっかり色あせてしまいましたね。私も恋の悩みや物思いにふけりながらむなしく世 を過ごしている間に、美貌がずいぶん衰えてしまったものです。 ●「わが身世にふる」 … 「世」は、 「世」と 「男女の仲」の意の掛詞。 ●「ふる」 … 「経る」と 「降る」の掛詞。 ●「ながめ」 … 「長雨」と 「眺め」の掛詞。 ● 倒置法。 ※「経る」 「眺め」、 「降る」 「長雨」はそれぞれ縁語。 これやこの 行 い くも 帰 かへ るも 別 わか れては 知 し るも 知 し らぬも あふ 坂 さか の 関 せき 蟬丸 ■ 訳 これがまあ、あの東国に下る人も都へ上る人も、 別れては会い、知り合い同士もそうでない人も、 文字通り皆が行き会う逢坂の関なのです。 ●「あふ坂の関」 … 「あふ」は、 「逢ふ」と地名 「逢(坂) 」の掛詞。 ● 体言止め。 わたの 原 はら 八 や 十 そ 島 しま かけて 漕 こ ぎ 出 い でぬと 人 ひと には 告 つ げよ 海 あ ま 人 の 釣 つり 舟 ぶね 参議篁 四 ■ 訳 大海原に、散在する数多くの島々を縫うようにして舟を漕ぎ出して 出いったと、都に残してきた恋しい人には告げてくれ、 海人の釣舟よ。 ●「海人の釣舟」 … 「釣舟」が 「告げよ」と呼びかけられて擬人化されている。 ※ 体言止め。 天 あま つ 風 かぜ 雲 くも の 通 かよ ひ 路 ぢ 吹 ふ きとぢよ をとめの 姿 すがた しばしとどめむ 僧正遍昭 三 ■ 訳 空吹く風よ、舞姫が天上と地上とを行き交うという雲の中にあ道を吹いて閉じておくれ。この美しく舞う乙女たちの姿を、もう少し 下界にとどめておきたいと思うから。 ●「天つ風」 … 「天の風よ」という呼びかけを表す。擬人法。 ●「をとめの姿」 … 天女を意味する。五節の舞姫を天女に見立てている。 10 11
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