「新・ゴロゴ古文単語」 特典版v1.20

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あらざらむ この 世 よ のほかの 思 おも ひ 出 で に 今 いま ひとたびの 逢 あ ふこともがな 和泉式部 ■ 訳 生きてこの世にいることは望めない状態になりましたので、あの世に行ってからの思い出として、せめてもう一度、あなたとの逢瀬が あればなぁと願っています。 めぐり 逢 あ ひて 見 み しやそれとも 分 わ かぬ 間 ま に 雲 くも 隠 がく れにし 夜 よ 半 は の 月 つき かな 紫式部 ■ 訳 めぐりあって見たのは月であったのかどうか、それすらわからないうちに っという間に雲隠れした夜中の月であることよ。あなた はそれと同じくらいあっというまに帰ってしまいましたね。 ●「めぐり」 「月」は縁語。 有 あり 馬 ま 山 やま 猪 ゐ な 名 の 笹 ささ 原 はら 風 かぜ 吹 ふ けば いでそよ 人 ひと を 忘 わす れやはする 大弐三位 ■ 訳 有馬山に近い猪名の笹原に風が吹くと、笹の葉がそよそよと音を立てますが、 さあそれですよ、あなたは私の心変わりが心配だとおっしゃ いますが、私があなたを忘れたりしましょうか、いやしません。 ●「有馬山~ 風吹けば」 … 「そよ」を導く序詞。 ● 「いでそよ人を」 … 「そよ」は、 「それですよ」と、擬声語 「笹原がそよそよと音をたてる」との掛詞 。 やすらはで 寝 ね なましものを さ 夜 よ 更 ふ けて かたぶくまでの 月 つき を 見 み しかな 赤染衛門 (二) ■ 訳 あなたが来ないと知っていたら、ためらわないでとっくに寝ていたでしょうに、信じて待っている間に夜が更けてしまい、西の山の端 に傾くまでの月を見てしいましたよ。

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