「新・ゴロゴ古文単語」 特典版v1.20

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朝 あさ ぼらけ 宇 う 治 ぢ の 川 かは 霧 ぎり たえだえに あらはれわたる 瀬 せ ぜ 々 の 網 あじ ろぎ 代木 権中納言定頼 (初) ■ 訳 冬の夜がおぼろげに明けてくる朝方、宇治川の川面を見ると、立ち込めていた川霧が途切れ途切れに晴れていって、その合間合間に川 瀬の網代木が次々と現われています。 ※「たえだえに」 … 川霧が「途切れ途切れに」 晴れるの意と、網代木が「次々に」 現れるの意の掛詞。 ● 体言止め。 恨 うら みわび 干 ほ さぬ 袖 そで だに あるものを 恋 こひ に 朽 く ちなむ 名 な こそ 惜 を しけれ 相模 ■ 訳 あの人のつれない仕打ちを恨み、嘆き悲しむ涙に濡れて、涙で乾く暇のない袖さえ朽ちもせずにこうしてあるものを、この恋のために 浮き名が立って朽ちてしまうような私の名声がとても惜しいのです。 ●「袖」 「朽ち」は縁語。 もろともに あはれと 思 おも へ 山 やま 桜 ざくら 花 はな よりほかに 知 し る 人 ひと もなし 前大僧正行尊 (二)・ 三 ■ 訳 私がお前を見てしみじみといとしく思うように、お前も私をいとしく思っておくれ、山桜よ。私にはお前よりほかに理解してくれる人 もいないのだから。 ●「 あ はれと思へ山桜」 … 「山桜」を擬人化している。 ● 倒置法。 春 はる の 夜 よ の 夢 ゆめ ばかりなる 手 た 枕 まくら に かひなく 立 た たむ 名 な こそ 惜 を しけれ 周防内侍 ■ 訳 春の夜の短い夢のようにはかないあなたの手枕を借りたがため つまらなくも立ってしまうような浮き名なんて口惜しいだけですよ 。 ●「かひなく立たむ」 … 「かひなく」は、 「腕(かいな) 」と 「甲斐なく」の掛詞。 ※「かひな」 「手枕」は縁語。

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