「新・ゴロゴ古文単語」 特典版v1.20
90 93 百人一首 見 み せばやな 雄 を 島 じま のあまの 袖 そで だにも 濡 ぬ れにぞ 濡 ぬ れし 色 いろ は 変 か はらず 殷富門院大輔 初・四 ■ 訳 私の袖をお見せいたしたいわ。あの松島湾にある雄島の漁師の袖でさえ濡れに濡れました。それでも色が変わったりしないのに、私の 袖は血の涙で濡れに濡れて色が変わってしまっています。 ● 本歌取り。 きりぎりす 鳴 な くや 霜 しも 夜 よ の さむしろに 衣 ころも かたしき ひとりかも 寝 ね む 後京極摂政前 太政大臣 ■ 訳 こおろぎが鳴く霜のおりる寒々としむしろに、衣片袖を敷いて私はただ独りぼっちで寝るのであろうか ●「さむしろに」 … 「さむしろ」は、 「寒し」と 「むしろ」の掛詞。 ● 本歌取り。 わが 袖 そで は 潮 しほ 干 ひ に 見 み えぬ 沖 おき の 石 いし の 人 ひと こそ 知 し らね 乾 かわ く 間 ま もなし 二条院讃岐 ■ 訳 私の袖は、潮が引いたときでも海中に隠れて見えない沖の石のように、誰も知らなでしょうが、いつも恋の涙で乾く間がないのです 。 ●「汐干に見えぬ 沖の石の」 … 「人こそ知らね乾く間もなし」を導く序詞。 ※ 本歌取り。 世 よ の 中 なか は 常 つね にもがもな 渚 なぎさ こぐ あまの 小 を 舟 ぶね の 綱 つな 手 で かなしも 鎌倉右大臣 二 ■ 訳 世の中は永遠に変わってほしくないものだなぁ。波打ち際並行に漕いでゆく海人の小舟の綱手を引いてゆくさまを見ると、しみじみ と胸が締めつけられるように悲しいなぁ。 ● 本歌取り。 91 92
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