「新・ゴロゴ古文単語」 特典版v1.20
97 99 百人一首 ■ 訳 いくら待っても来ない恋人を待つ私は、まさに 松 まつ 帆 ほ の浦で 夕 ゆう 凪 なぎ の頃に海辺で焼かれて焦げる藻塩の煙が立ち上るように、切なさで身も 恋焦がれる想いでいます。 ●「まつほの浦の」 … 「まつ」は、 「待つ」と地名 「松(帆の浦) 」の掛詞。 ●「まつほの浦の夕なぎに焼くや藻塩の」 … 「こがれ」を導く序詞。 ●「身もこがれつつ」 … 「こがれ」は、 「藻塩」が焼け焦げることと 「(わが) 身」が恋い焦がれることの掛詞。 ●「焼く」 「藻塩」 「こがれ」は縁語。 ● 本歌取り。 風 かぜ そよぐ ならの 小 を 川 がは の 夕 ゆふ 暮 ぐ れは みそぎぞ 夏 なつ の しるしなりける 従二位家隆 ■ 訳 風がそよそよと楢の葉に吹きそよぐならの小川の夕暮れは、すっかり秋らしさを感じさせるけれど、折から行われている 六 みなづきばらえ 月祓 の 禊 みそぎ の 行事だけは、夏であることの証しであるなあ。 ●「ならの小川」 … 「ならの小川」は、奈良市のことではなく、上賀茂神社の境内を流れている 御 みた らし 手洗 川を指している。「なら」 は、川の名前 と「楢」 との掛詞。 ● 本歌取り。 人 ひと もをし 人 ひと も 恨 うら めし あぢきなく 世 よ を 思 おも ふゆゑに もの 思 おも ふ 身 み は 後鳥羽院 初・二 ■ 訳 あるときは人を愛しく思う。またあるときは恨めしく思う。 この世の中を味気なく思うがゆえに、あれこれと思い悩むことが多 いわが身は。 ● 倒置法。 来 こ ぬ 人 ひと を まつほの 浦 うら の 夕 ゆふ なぎに 焼 や くや 藻 も 塩 しほ の 身 み もこがれつつ 権中納言定家 98
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