みんゴロ古文読解
第三部 4 古 こ 本 ほ 説 せ 今は昔、紫式部、上東門院に歌よみ 優 いう の者に さぶらふ に 、さりぬべき物語や と尋ね申させたまひければ、御草子ども取り出 ださせたまひて、「いづれをか まゐらす べき 」 など、選り出ださせたまふ に 、紫式部、「みな 目馴れてさぶらふ に 、新しくつくりて、 まゐら せ たまへかし」と申しければ、「 さらば つくれ かし」と 仰 おほ せ られければ、源氏はつくりて、 ま ゐらせ たりけるとぞ。 いよいよ心ばせすぐれて、 めでたき ものにて さぶらふ ほどに、伊勢大輔 まゐりぬ 。それも歌 今はもう昔のこと、紫式部が、上東門院〔=中宮 彰子〕に 優れた 歌詠みとして お仕えしているときに 、 大斎院〔=選子内親王〕から、春ごろ、「 退屈し て おります ので 、何か適当なよいお話でも ございます か」と尋ね申し上げなさったところ、上東門院は幾 つか御草子〔=綴本〕をお出しになって「どれを 差し上げるのがいいでしょう 」などとおっしゃっ て、選び出しなさった ときに 、紫式部が、「どれも 見慣れております ので 、新しく物語を作て、 差し 上げ なさいませよ」と申しあげたので、上東門院が 「 それならば あなたが作りなさいよ」と おっしゃっ たので、『源氏物語』を作って、 差し上げ たという ことだ。 紫式部はますます心遣いも優れて、 すばらしい 人 物として お仕えしている ころに、伊勢大輔が宮中に 参上した 。の方も歌詠みの家柄なので、道長殿は、 大切におもてなしなさる。奈良から、一年に一回、 ん て さぶらふ に 、大斎院より、春つかた、「 つれ つ 話 わ 集 しゅう 作者未詳 世俗説話 平安時代末 づれに さぶらふ
」
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