みんゴロ古文読解
帰らせたまふ
。
すがへす 残る人なく仕うまつりて ののしる さま、 行 ぎゃうかう 幸 に 思しめす 。 れ させたまひぬ。足を空に思ひまどふ人多かり。 御位を去ら せたまふ といふばかりに こそあれ 、 世の 政 まつりごと をしづめさせたまへることも、わが御世 の同じことにて おはしましつる を、帝はいと若 うおはします、 祖 おほぢ 父 大 おとど 臣、いと急に さがなく お はして、その御ままなりなむ世を、いかなら むと、上 かん 達 だち 部 め 、殿 てんじゃうびと 上人みな思ひなげく。 が更けてから春宮は 子は、 帝のお出まし である。 もの足りない 帰りになる 思いになる 参上なさろう とするのだが、中宮 が このように桐壺院のおそばに らっ ていらっしゃるうちに、桐壺院はそれほど ひど くお苦しみにな 御様子もなくてお 亡くなり になっ た。足も地につかないというふうに心を乱し悲しむ 人が多い。桐壺院は帝位を退き なさる ということだ けは あったけれども 、天下の政務をおとりになっ ていらしたことも、御在位中と同じ状態で いらっ しゃった ので、桐壺院の崩御後は帝がとても若くて いらっしゃるし、外祖父の右大臣が、とても性急 たちが悪く て、その右大臣の思うがままの 天下にきっとなるであろうことを、どうなることか と、上達部や殿上人がみな嘆かわしく思 る。 のたまはす 劣るけぢめし。 飽かぬ ほどにて 帰らせたまふ 、思し を、いみじう 大 おほきさき 后 も 参りたまはむ とするを、中宮 の かく添 やすらふ ほど に、 おどろおどろしき さまにもおはしまさで 隠 かく 付き添っていらっしゃるので 遠慮なさって 、 ため ひおはするに 御心おかれて とごとく春宮のお供を申し上げて のを、桐壺院はたいそう悲しいことに お 。 弘徽殿の大后も桐壺院のお見舞いに お戻りになる の際の様子に見劣りしないほど ほどの短い御対面で春宮が お 騒ぎ立てている 。夜更けてぞ
。殿上人たちがこ 様
9 第三部
215
Made with FlippingBook flipbook maker