みんゴロ古文出典

読解ポイント 「虫めづる姫君」の一節。虫好きな姫君の噂を聞いた右馬 の佐はいたずらに偽物蛇を姫君に贈る。姫君は驚くが和 「~が」と同格「~で・~であって」の判別が大切。 歌を贈る。その内容に興味を持った右馬の佐は姫君見よ うとして邸に忍び込む。右馬佐が送った和歌に対して姫 君が「名前を教えてください」と返歌すると右馬の佐は 笑って「毛虫のようなあなたの眉毛その端に当たるよう な人もいません」と言って笑って帰る。 ★格助詞「 の 」は文中に頻出し、読解上重要特に主格 ★カ変「 来(く) 」は文末にある時、命令形になっている場 合があるので注意。その場合は、「こ」と読むので、読みも 大切。ちなみに「こよ」という命令形は鎌倉時代以降。

しぶげに見ゆるを、眉いと黒く、はなばなとあざやかに、涼しげに見えたり。口つきも 愛 あい 敬 ぎやう づき て清げなれど、歯黒めつけねば、 いと 世づか ず 。「 化 け 粧 さう したらば、清げにはありぬべし。 心 こころ 憂 う く もあるかな」とおぼゆ。かくまで やつし たれど、見にくくなどはあらで、いとさまことに、 あざやかにけだかく、はなやかなるさまぞ あたらしき 。 練 ねり 色 いろ の 綾 あや の 袿 うちぎ ひとかさね、 はたおりめの 小 こ 袿 うちぎ ひとかさね、白き袴を好みて着たまへり。 色 つ や が な く 見 え る が 眉 は 黒 々 と、 濃 く あ ざ や か に き わ だ ち、 涼 し そ う に 見 え る。 口 元 も かわいらしく て美しいが、お歯黒をつけないので、 あまり 世間並みで はない 。「お化粧でもしていたら、美しいに違いない。 情けない ことだなあ」と思われる。こんなにまで 見栄えのしない様子 でいるけど、みっともなくなどはなくて、たいそう様子が普通と違って、 際立って美しく気品があって華やかな様子がするだけに、 惜しい気がする 。薄黄色の、綾織りの袿一重、 こおろぎの模様の小袿一重、白い袴を好んで着用していらっしゃる。

11 20 第 位 ~ 第 位

105

Made with FlippingBook - Online catalogs