みんゴロ古文出典

易   難 入試 出題箇所を チェック ! 国公立大の出題が多 く、文章の難易度は高 くないが口語訳や内容 説明を求められる。 今は昔、 長 なが 能 たふ 、 道 みち 済 なり といふ歌よみども、いみじう挑み交はして詠みけり。 長能は、蜻蛉の日記したる人の 兄 せうと 人 、伝はりたる歌詠み、道済、 信 さねあきら 明 といひし歌詠みの 孫にて、いみじく挑み交はしたるに、 鷹 たか 狩 がり の歌を、二人詠みけるに、 長能、 あ ※ られ降る 交 かた 野 の のみのの かりごろも 濡れぬ宿かす 人しなければ 道済、 濡れ濡れも なほ狩りゆかむ はしたかの 上毛の雪を うち払ひつつ と詠みて、おのおの「我がまさりたり」と論じつつ、四条大納言のもとへ二人参りて、 判せさせたてまつるに、大納言のたまふ、「ともによきにとりて、あられは、 『 古 こ 本 ほん 説 せつ 話 わ 集 しゅう 』 神戸大学 今はもう昔のこと、長能と道済という歌人たちが、互いに負けまいとして激しく張り合って歌を詠んでいた。 長能は『蜻蛉日記』を書いた人(藤原道綱母)の弟で、家柄は歌人として代々伝えられている歌詠みで、道済は信明といった歌人の 孫であって、激しく張り合っていたが、あるとき鷹狩の歌を二人が詠んだときに、 長能は、 ○交野の御料地で鷹狩りをしていると、霰が降ってきて狩衣が濡れてしまった。この広い野には宿を貸す人もないので、蓑も借りられない 。 道済は、 ○濡れても濡れても、やはり鷹狩りは続けていこう。はし鷹の上毛に降りかかる雪を払い落としながら。 と詠んで、そ ぞれ「自分の歌が優れている」と論じながら、四条大納言(=藤原公任)の所へ二人で参上して 判定していただいたところ、大納言がおっしゃるには、「どちらもよい歌だと思うが、『あられ降る』の歌のほうは、 DATA FI LE

116

Made with FlippingBook - Online catalogs