みんゴロ古文出典
21 位 『土佐日記』は 平安前期 、 世紀前半の承平 年 ( 年 ) に成立 した 仮名で書かれた日本初の日記文学作品 。 紀貫之 が土佐 守 かみ を終えて土佐から帰京する 日間の船旅の経験 を日記風に記したものだが、一部フィクションも混ざって いる。冒頭の「男もすなる日記といふものを、女もしてみ 935 55
10 んとてするなり(=男書くと聞いてる日記というもの を、女の私もしてみようと思って書くのである)」でわかる ように、全編 女性の作に仮託 している。これは当時の男性 貴族は公式記録では 漢字 ( 真名 )で日記を書くもの、という
5 常識に対して、私的な日記として自己の心情を素直に吐露 するための手法であった。内容は、諧謔を交えつつ、土佐 で亡くし愛娘の死を悼み哀惜すると同時に、心無い世相 への怒りが述べられ、随所に和歌や歌論などが織り込まれ ている。ちなみに紀貫之は『土佐日記』を書く 年前( 年) に、醍醐天皇の命を受けて『 古今和歌集 』を撰んでいる。そ の「 仮名序 」は歌論として最古のもので、後世に大きな影響 を与えた。 30 905
出題率 1.5 % 紀 きの 貫 つら 之 ゆき 平安前期 日記 土 と 佐 さ 日 にっ 記 き
平安の日記
1108 1073 1059 1010 1004
974
935 土 と 佐 さ 日 にっ 記 き
更 さらしな 級 日 にっ 記 き 成 じょうじんあじゃりのははのしゅう 尋阿闍梨母集 菅原孝標女作 母性愛の文学
讃 さぬきの 岐典 す 侍 け 日 にっ 記 き
和 い 泉 ずみ 式 しき 部 ぶ 日 にっ 記 き 紫 むらさきしきぶにっき 式部日記
旅日記 蜻 かげ 蛉 ろう 日 にっ 記 き 藤原道綱母作
紀貫之作 わが国初の仮名日記
追慕する。 土佐から京都まで
任地で失った女児を
(女房名 讃岐典侍)
藤原長子作
118
Made with FlippingBook - Online catalogs