みんゴロ古文出典
読解ポイント 最後の一文にあるように『竹取物語』は、原則的にこのような言葉 遊びの「オチ」で締めくくられている。それは伝承された真面目な 「語源解釈」ではなく、「創作」であり、本当の語源を知っている人 が読めば、ここは思わず吹き出す場面。そうした創作性ゆえに、 『源 氏物語』の中で『竹取物語』が「物語の祖 おや 」と呼ばれているのは有名。 ★「 ましかば~まし 」は反実仮想。「なまし」の「な」は強意(完了) 「ぬ」の未然形。 平安の伝奇物語のゴロは 「 竹取ウッホ ウッホ 窪 みに 落 ちて 電気 ショック ! 」 落窪物語 伝奇物語 竹取物語 宇津保物語
家に少し残りたりける物どもは、龍の玉を取らぬ者どもに たび つ。 これを聞きて、離れ給ひしもとの上は、腹を切りて笑ひ給ふ。糸を 葺 ふ かせ造りしは、 鳶 とび ・ 烏 からす の巣に、みなくひもて 往 い にけり。世界の人の言ひけるは、「大伴の大納言は、 龍の頸の玉や取りておはしたる」、「いな、さもあらず。 御 み 眼 まなこ 二つに、杏のやうなる 玉をぞ添へて いまし たる」と言ひければ、「あな、たべがた」と 言ひけるよりぞ、世にあはぬことをば、「あな、たへがた」とは言ひはじめける。 家に少し残っていたものなどは、龍の頸の玉を手に入れなかった家来たちに褒美として お与えになっ た。 これを聞いて、離縁なさった元の奥方は、腹をよじってお笑いになる。かぐや姫のために糸を葺かせて飾りたてた新しい家は、 鳶や烏が、巣を作るために、みなくわえて持っていってしまったのだ。世間の人々が言ったことには、「大伴の大納言は 龍の頸の玉を取っていらっしゃったのか」、「いやそうではない。玉は玉でも、御眼二つに杏のような 玉をつけて いらっしゃっ たよ」と言ったところ、「ああそんな杏では食べがたい(=「たべがた」の「たべ」が「食べ」と「堪へ」の掛詞)」と 言ったことから、思うようにならないことを「あな堪へがた」と言い始めたのである。
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