みんゴロ古文出典

易　　 難 入試 出題箇所を チェック ! 平均的な難易度と出題 傾向で、注意すべきは 説話に絡む文学史。 中ごろの事にや、 山 やま 城 しろ 国に男ありけり。あひ思ひたりける女なん侍りける。 何とか侍りけん、 うとうとしき さまにのみぞなり行きける。この女うちくどき、 「かくのみなり行けば、 世の中 も浮き立ちておぼゆるに、誰も年のいたういふ 甲 か 斐 ひ なくならぬ時、 おのがよよになりなんも、ひとつの 情 なさけ なるべし」と言ひけり。この男驚きて、 「え去らず思ふこと、昔につゆちりも違はず。ただしひとつの事ありて、うとうとしきやうに おぼゆる事ぞある。過ぎにしころ、ものへ行くとて、野原のありしに休みしに、死にたる人の 頭の骨のありしを、つくづく見しほどに、 世の中 あぢきなく はかなくて、誰も死なん後は かやうに侍るべきぞかし。この人もいかなる人にか、 かしづき 仰がれけん。ただいまは、 いと けうとく いぶせき 髑 どくろ 髏 にて侍るめり。今より我が 妻 め の顔のやうをさぐりて、このさまに 『 閑 かん 居 きょの 友 とも 』 立命館大学 そ れ ほ ど 遠 く な い 昔 の 出 来 事 で あ っ た か、 山 城 の 国 に 男 が い た。 相 思 相 愛 の 女 が お り ま し た。 ど ん な こ と が あ っ た の で し ょ う か、 疎 遠 な 状 態 に な っ て い っ た。 こ の 女 は 繰 り 返 し、 「お互いの関係はこういうふうになっていくので、 夫婦仲 も落ち着かないように思われるので、どちらもひどく年をとらないうちに離婚して、 そ れ ぞ れ 独 立 し た 生 活 を す る の も 一 つ の 思 い や り で は あ ろ う 」 と 言 っ た。 こ の 男 は 驚 い て、 「離れがたく思う気持ちは、昔とほんの少しも違わない。ただし一つの出来事に遭遇して、 疎遠になった ように 思 わ れ る こ と が あ る。 過 日 よ そ へ 行 こ う と し て 途 中 に 野 原 が あ っ た の で 休 ん だ と こ ろ、 死 人 の 頭蓋骨があってそれをつくづく見ているうちに、 こ の 世 が つ ま ら な く むなしくなり、誰でも死後は このようになるのですね。この人もどんな人だったのだろうか、 大切にされ 敬慕されていたのだろう。現在は たいそう 恐ろしく 気味の悪い 髑髏にしか過ぎないようでございます。今から自分の妻の顔の形を探ってこの髑髏の形と DATA FI LE

160