みんゴロ古文出典
易 難 入試 出題箇所を チェック ! 和歌がからむので難易 度はやや高い。日記全 体の内容を知っている と有利。 次の文章は『和泉式部日記』の一節で、「女」(和泉式部)と「宮」(敦道親王)との恋の交際を描いた場面である。 宮、 例の 忍びておはしましたり。女、 さ ※ しもやは と思ふうちに、日ごろの おこなひ に 困じ て、うちまどろみたるほどに、 門 かど をたたくに聞きつくる人もなし。聞こしめすことども あれば、人のあるにやとおぼしめして、 やをら 帰らせたまひて、 つとめて 、 「あけざりし まきの戸口に 立ちながら つらき心の ためしとぞ見し 憂き はこれにやと思ふも、あはれになむ」とあり。「 昨 よべ 夜 おはしましけるなめりかし、 心もなく寝にけるものかな」と思ふ。御返り、 いかでかは まきの戸口を 鎖 さ しながら つらき 心の ありなしを見む おしはからせたまふめるこそ。見せたらば」とあり。 今 こよひ 宵 もおはしまさまほしけれど、 『 和 い ず み 泉 式 しき 部 ぶ 日 にっ 記 き 』 静岡大学 宮は、 いつものように 忍んでおいでになった。女はまさかお見えになるまいと思っているうちに、何日かの 仏道修行 に 疲れ て、うとうとと眠っているときであったので、門をたたいてもそれを聞きつける人もいなかった。宮は女の噂でお聞き及びのことが あったから、誰か男が来ているのだろうとお思いになって、 そっと お帰りになり、 翌朝 、 ○開けてくださらなかった槇の戸口に立ちつづけて、これがあなたの無情な心の証拠だなと思いました。 恋のつらさ とはこのことかと思うにつけても、しみじみ悲しいことでした」とお手紙があった。女は、「昨夜おいでになったのであるらしいよ、 不用意にも寝てしまったものよ」と思った。そのご返事は、 ○槇の戸口は鎖したままです。どうして私の心が 薄情 かどうか、おわかりになるでしょうか。 変なご想像をしていらっしゃるようです。心中をお見せできましたなら」と書いた。宮は、今宵もまたお出かけになりたかったけれど、 DATA FI LE
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