みんゴロ古文出典

易   難 入試 出題箇所を チェック ! 上位大での出題が多 く、穴的出典。人物関 係を押さえておきた い。 いみじう 苦しげに思したりければ、片時御かたはら離れまゐらせず、ただ、われ、 乳 めのと 母 などのやうに添ひ伏しまゐらせて、泣く。 あな 、いみじ。かくて はかなくなら せたまひなむ ゆゆしさこそ。 ありがたく 仕うまつりよかりつる御心のめでたさなど思ひつづけられて、 つゆ も寝られ ず 、寝入らせまへる御顔を まもり まゐらせ て、泣くよりほかのことぞなき。

DATA FI LE いとかく何しに 馴 な れつかうまつりけむと、くやしくおぼゆ。参りし夜より今日までのこと 思ひつづくる心地、ただ推し量るべし。こはいかにしつることぞと悲し。 明け方になりぬるに、鐘の音聞こゆ。 明 ※ けなむ とするにやと思ふに、いとうれしく。 やうやう 烏の声など聞こゆ。朝浄めの音など聞くに、明けはてぬと聞こゆれば、よし、 例の 、人たち おどろき あはれなば、かはりて少し寝入らむと思ふに、 御 み 格 かう 子 し 参り 、 大 おほとなぶら 殿油 まかでなどすれば、 『 讃 さ ぬ き の す け 岐典侍 日記』 都留文科大学 帝は たいそう 苦しそうにお思いになっていたので、私は片時もおそばをお離れ申し上げないで、ひたすら私が 乳母などのように添い伏し申し上げて、泣いている。 ああ ひどい。こうしてお 亡くなり になるとしたら、 その悲しみはこの上ない。 もったいないほど お仕えしやすかったお心遣いの素晴らしさなどが次々と思い続けられて、 少しも 眠ることができ なくて 、帝がお休みになっていらっしゃるお顔を私は 見守り 申し上げ て、泣くよりほかはない。 このように何のために親しくお仕え申し上げてきたのかと思うと、何もできず残念に思う。参内した夜から今日までのことを 思い続ける気持ちを、ぜひ推し量ってほしい。これは一体どうしたことかと悲しい。 明け方になると鐘の音が聞こえる。いよいよ夜が明けようとするのであろうかと思うと、たいそううれしく思われる。 しだいに 烏の鳴声などが聞こえる。朝の清掃の音などを聞くにつけても、すっかり明けてしまったと思われるので、ええままよ、 いつもの お付きの人たちが 互いに 目を覚まし たら、私は交替して少し眠ろうと思っていると、御格子を お上げしたり 、大殿油をお下げしたりなどするので、

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