みんゴロ古文出典
1 第 位 ~ 第 位 10
「 」 失った幼い玉鬘は乳母に連れられて筑紫に下っていった。筑 紫で育っ玉鬘ではあったが教養ある美しい女性へと成長 し、田舎貴族の強引な求婚から逃げるために苦しい上京の旅 をていた。 ★「見ゆべくも構へず」の「 べく 」は下に打消「ず」を伴っ て可能。 構へず は几帳などを立てた部屋の様子につい て述べたものである。 『源氏物語』はストーリー の把握が最も重要。 全 帖の内容をしっかり つかんでね。 54 た夕顔は六条御息所生霊に襲われて急死。夕顔に仕えてい た右近は秘密を守るために光源氏に仕える になり、母を 読解ポイント 「玉鬘」の巻の一場面。玉鬘は光源氏が若い頃に恋した夕顔 の忘れ形見。父親は頭の中将。光源氏と秘密デートをしてい
御すみかまでありし者なりけりと見なして、いみじく夢のやうなり。主とおぼしき人は、 いと ゆかしけれ ど、見ゆ べ ※ く も 構へ ず。 思ひわび て、「この女に問はむ。 兵 ひゃう 藤 とう 太 だ といひし人も、 これにこそあらめ。姫君のおはするにや」と思ひ寄るに、いと 心もとなく て、この中隔てなる 三条を呼ばすれど、 食 くひ 物 もの に心入れて、とみにも来ぬ、いと憎しとおぼゆるも、 うちつけなり や。 お屋敷にまでお供していた者だよとわかって、たいそう驚き夢のような気がする。主人と思われる人を、 たいそう 見てみたい が、見ることが できる 部屋の作り ではない。 思い悩ん で、「この女に尋ねよう。昔、兵藤太といった人も、 き とこの男のことなのだろう。姫君がいらっしゃるだろうか」と考えると、たいそう 気がかり で、この中隔ての所にいる 三条を呼ばせるが、三条は食べ物に夢中になっていて、すぐに来ないのを、とても腹立たしいと思うのも、それは 軽率である よ。
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