みんゴロ古文出典

読解ポイント 『御伽草子』は平安・鎌倉時代の物語文学の影響を受けて、 室町末期から江戸前期にかけて作られた短編小説の総称。近 世の「仮名草子」や「浮世草子」への橋渡しとなった。子供 や女性向けに絵入りでわかりやすく書かれいた。「一寸法 師」「物くさ太郎」「浦島太郎」などが有名。 ★二か所の にて 」の「に」は断定の助動詞「なり」の連用形。

かしこくも見知りまゐらせたるものかな、その御ことは、わが 主 しう の御 乳 めのと 母 子 ご に ※ て おはします、 小 こ 宰 ざい 相 しやう の御方 に ※ て ましますなり。色には人の染むこともあり。おぼしめす 言の葉 あらば、 一筆 あそばし 給はれかし。参らせてみん」と言へば、藤太いとうれしくて、 取る手もくゆるばかりなり。紫のうすやうに、 なかなか 言葉は なく て、 恋ひ死なば やすかり ぬべき 露の身の 逢 あ ふを限りに ながらへぞする と書きて、引き結びてわたしけ。 「あり」 「まします」など ちょうどうまい具合に察知して差し上げたものですねえ。そのお方はわが主人将門様の乳母子でいらっしゃる、 小宰相様でいらっしゃるのです。恋心には人がほだされることもあります。思っていらっしゃる 和歌 があるなら、 一筆 お書きになっ てくださいませ。小宰相様に差し上げてみましょう」と言うので、藤太は大変うれしくて 筆を取る手も震え崩れるほどである。紫色の薄い紙に、 とても 言葉は書け ない で、 ○いっそ恋によって死んでしまえたなら、 気が楽 に違いない、この露のようにはかない身の上が、あなたに一目逢うことだけで命永らえるのです。 と書いて、文を引き結んで渡したのだった。

: 存在を表す語があれば、この 「に」は断定の助動詞なり」の センター試験 「おはします」

出題 「に」や「にて」の下に、

連用形です。

41 50 第 位 ~ 第 位

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