みんゴロ古文出典
38 『平中物語』は平安中期の歌物語で作者は不明。平中( 平 たいらの 貞 さだ 文 ふみ )を主人公とした全 段からなる恋愛物語で、愛を求めて 傷つく主人公を描く。先行する歌物語『伊勢物語』が在原業平 を主人公にしていたのと同様、『平中物語』では色好みの平貞 文 公とするが、行動はやや消極的。和歌は 首収録さ れており、平貞文のものは、そのうち 首。 ★ 「人のあきに」の和歌の「 あき 」が「飽き」と「秋」の掛詞。 ★ 「たがあきに」の和歌「 あき 」が「飽き」と「秋」掛詞。 153 99 読解ポイント 出題 滋賀大学 平安時代の男女の恋愛は、基本 : 的に男が女に対して行動を起こ します。そしてそのスタートは なんと言っても文(手紙)とその 中に書かれた和歌です 。 これは普通、 「男→使者→侍女→ 女」というプロセスで届けられ るのです。
それをはじめにて、ものなどいひやりける。もし、こもりゐて、すかす人 もこそ あれと思ひて、 たえて 、その人の家ともいは ざり ければ、 ねむごろに も、尋ね問はで、 さて、 なま疑ひ てぞ、ときどき、ものひやりける。 それをきっかけにして女のもとに手紙など送った。しかし男はもし隠れていてだます男 がいたら大変だ と思って、 ま た 誰 々 の 家 と も 決 し て 言 わ な か っ た の で、 男 も 熱 心 に も 尋 ね な い で、 そ れ で 半 信 半 疑 で 時 々 手 紙 を 送 っ て い た。
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