みんゴロ古文出典

読解ポイント 『太平記』は室町前期、南北朝と呼ばれた時代に成立した 軍記物語。作者は不明。後醍醐天皇の倒幕計画から建武の 新政の成立、南北両朝の分裂を経て、室町幕府内部の紛争 にまでいたる全国を巻き込んだ動乱を和漢混交文で記述し ている。江戸時代には「太平記読み」によって講釈されて 後世の芸能・文学・思想に多大な影響を与えた。 ★ 「せ給ふ」の「 せ 」は使役の場合と尊敬の場合とがある。 娘 も た い そ う 辛 く 心 を 動 か さ れ る 様 子 に 見

結ぶ露の かごと によせて、いひ知らぬ御 文 の数、 千 ち 束 づか にも余るほどになりにけり。 女もいと 物わびしう あはれなる方に覚えけれども、吹きも定めぬ浦風に な び き は つ べ き 煙 の 末 も、つ ひ に は 浮 うき 名 な に 立 ち ぬ べ し と、 心つよき 気色 をのみ関守になして、はや年の三年は過ぎにけり。 置く露のようにちょっとした 口実 にかこつけては、言いようもないほどのお 手紙 の数が、千束を超えるほどになってしまった。 え た が、 吹 く 方 向 も 定 ま ら な い 浦 風 に 最後にはなびいてしまう煙のように、容易になびいてしまうと、しまいには悪い評判が立ってしまうに違いないと、 容易になびくまいとする強情な 態度 だけを恋の道を隔てる番人として、早くも三年の月日が経ってしまった。

ここでは尊敬。地の文(会話文でないところ)で「尊 敬+尊敬」の二重尊敬(最高敬語)があると、主語は 帝レベル。

出題 軍記物語もゴロで覚えましょう。 保元平治平家太平記 : 徳島大学 歩兵兵隊

41 50 第 位 ~ 第 位

曽我物語

義経 軍 」

義経記 軍記物語

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