みんゴロ古文出典

読解ポイント 『唐物語』は平安末期に成立した世俗説話。作者は藤原成範 と言われている。長短さまざまな中国説話を歌物語風に翻訳 したもので、『源氏物語』などにも引用された有名な説話が 多い。原典としては『白 はく 氏 し 文 もん 集 じゅう 』などがある。 ふ さ わ し く な い と 思 っ て ど う し て 親 の 願 死 ん だ 昔 の 夫 よ り、 生 き て い る 父 の お ろ そ 出立したもの の、新しい夫のところへ行きなが

「 」 「 」 ★ いかにして~てしがな の箇所は、 いかにして が副 詞 いかに +サ変動詞 す の連用形 し +接続助 詞 て から成り立っている。意志や希望の語とともに 使われている場合は、願望 なんとかして の意味となる。 に適当の「べし」がきており、ここでは どうして親の 願いにそむいてよいものか、いやよくない の訳になり、 反語で使われている。 「 」 「 」 「 」 「 」 「 」 「 」 「 」 「 」 出題 :

ねんごろにいひけれど、「親の心にしたがはぬは、かぎりなき罪とは知らずや。みづからの心にこそ ふさはしからずは思ふとも、 い ※ かでか 親の 本意 をばたがふ べき 」など、なほいひけるに、 むかしの男よりも、生まれける父の事は、 おろかに 覚ゆることわりに、まげてなまじひに 出で立ちつつ、今の男のもとへ行く行くも、袖のしづくかわくまもなかりけり。 心から父母に訴えたが、「 親の気持ちに従わないのは、この上ない罪だと知らないのですか。自分の心には も、 い に そ む い て い も の か な ど、 ま だ 言 っ た の で、 こ と は、 か に う 道 理 に、 心 を ま げ て、 し ぶ し ぶ ら、涙で袖が乾く間がなかっ た。

「 」 てしがな は終助詞で願望を意味する。 ★二つある いかでか のうち、最初のものは下に省略があ り、それを補充すると 得む・得てしがな など願望の 語がくるので「何とかして」と訳す。二つ目のものは下 よ 」 思 わ れ る と い 早稲田大学

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