みんゴロ古文出典
読解ポイント 『狭衣物語』は平安後期の物語で、従妹の源氏宮へのかなわ ぬ恋に苦しむ狭衣大将の女性遍歴をつづったもの。『源氏物
「公私につけても、よろづに頼もしき御行末に、かう今日とも知らぬ有様にて、さのみ 『思ひ離れきこえじ』とても、 いかがは 。さてこそは、限りの別れのほども、 少し面馴れたまはめ」など、 せめて おぼし捨てて、御出家の本意遂げさせたまひぬべき 御 心まうけ などせさせたまふを、宮は 年ごろ の御ならひ心の名残なう、 悲しういみじくおぼしめされて、嵯峨の宮にももろともに渡らせたまふべきさまにぞ、 おぼしめし急ぎける。 「公私につけ中宮は何の不安なこともないご将来なのに、私がこのように今日にも命果てるともわからない状況で、そのようにばかり 『お慕い申し上げ離れまい』と思っても、 どうしてそのようなことができようか 。そこで最期の別れの時も、 今から私が出家し、別居していれば少しは中宮にもご覚悟がおできになるだろう」など 強いて 中宮への未練をお捨てになり、ご出家の望みを遂げなさろうと お 心 の 準 備 を な さ っ て い る の を、 中 宮 は 帝 と ご 一 緒 の 長 年 の ご 習 慣 が 跡 形 も な く な く な る よ う で、 ひ ど く 悲 し く 思 わ れ て、 嵯 峨 野 の 後 院 に と も に お 移 り な さ る お つ も り で ご 準 備 な さ る の だ っ た 。
出題 語』の「宇治十帖」の影響を受けた作品で、狭衣大将は薫君 的人物。中世の擬古文への影響も大きく、『石清水物語』『我 身にたどる姫君』などは『狭衣物語』の影響を受けている。 平安の『源氏物語』以後の物語を ゴロで覚えましょう。 「 中納言寝覚 めの 衣 とりかへ る」 堤中納言物語 浜松 夜(半)寝覚 狭衣物語 とりへばや物語 : 立教大学
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