みんゴロ古文出典
読解ポイント 『とりかへばや物語』は平安後期の物語。権大納言兼大将の 子の兄弟は瓜二つのうえに、兄は女性的、妹は男性的であっ た。そこで男女をとりかえて育てられて、ついには兄女と して結婚、妹は男として結婚してしまうというとんでもない 事態が起こるが、結局は大団円でハッピーエンドというお話。 「とりかへばや」=「とりかえたい」 というのは、二人の子供の性格の こと。 男女逆転した性格の二人だったの です。 出題 : 関西大学
ただ同じものとのみ見えて、取りも 違 たが へつべうものしたまふを、同じ所ならましかば不用ならましを、 所どころにて生ひ出でたまふぞ、いとよかりける。おほかたはただ同じものと見ゆる御かたちの、 若君は あてに かをり気高く、 なまめかしき 方添ひて見えたまひ、 姫君ははなばなとほこりかに、見ても飽く世なく、あたりにもこぼれ散る 愛 あい 敬 ぎやう などぞ、 今より似るものなくものしたまひける。 まるで同じ顔のように見えて、取り違えてしまいそうでいらっしゃるのを、同じ場所であったならば不都合であっただろうが、 別々の場所で成長なさるのは、とてもよいことだった。たいていの場合には、まったく同じものと見えるお顔立ちが、 若君は、 上品で 顔の華やいでつややかな美しさは気品があり、 しっとりとしていて優美な 女性の理想的な美点が備わってお見えになり、 姫君は、華やかで誇らしげな様子で、ずっと見ても飽きることがなく、周囲にもこぼれ散る かわいらしさ などは、 今から姫君に似る者もなくていらっしゃった。
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