みんゴロ古文出典

読解ポイント 『平治物語』は鎌倉初期の軍記物語。作者は未詳。平治の乱 を和漢混交文で描いた叙事物語で、琵琶法師によって語ら れた。源義平(悪源太)の活躍を中心に、常盤御前の悲話な ど、敗れた源氏側の悲惨なありさまも描く。『保元』 『平治』 『平家』の三つの軍記物語の流れは、まさに中古から中世へ の変革過程といえる。 ★係助詞「 か 」はここでは反語。係り結び「か→べき」。 副詞「よも」は、 「じ」 「まじ」と呼 応します。 「え~打消」 「な~そ」と合わせて 三大副詞の呼応表現と覚えてお きましょう。 出題 :

よも 一つも候は じ 。たまたま僧徒の御身にて候へば、しかるべき人なりとも、 御助けこそ候はんずれ、かかる 下 げ 﨟 らふ のはてどもを討ちとどめ させ給ひ ても、何の御用 か ※ 候ふ べ ※ き 。 物の具 まゐらせ て候はば、かひなき命をば、御助け候へかし」と申せば、大衆ども、「さらば、 物の具投げよ」といはせもはてず、持ちたる甲を、若大衆の中へ、からとぞ投げたりける。 まさか 一つもございます まい 。たまたまあなた方は殺生を禁じられた僧のお身の上でございますので、たとえ大将格といった重要な人であっても、 お助けくださるでしょう。こんな下郎の半端者どもを討ち取り なさっ たとしても、何のお役に立つはずもないはずです。 武 を 差し上げ ましたなら、つまらないこの命をお助けくださいませよ 」と申すと、僧兵らに「 それなら、 武具を投げてよこせ」と終わりまで言わせないで、持っている甲を、若い僧兵の中へ、からんと投げたのだった。

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