みんゴロ古文出典

3 位 3 位 五 さ 月 つき の御 み 精 そう 進 じ の頃は、中宮定子様が 御 み 曹 ぞう 司 し (役人や女官 の部屋)に来て、 塗 ぬり 籠 ごめ の前の二間を特別に仏間にするなど、 いつもと様子が違います。五月雨で毎日つまらないので、 ホトトギスの鳴き声を探訪に行こうと女房たちに提案す ると、私も私もと参加する人が多く、みんなで出かけるこ とにしました。牛 ぎっ 車 しゃ の手配をして出発すると、留守番の女 九九段 「五月の御精進のほど」 作者清少納言は中宮定子の女房。父は 『後撰和歌集』の撰者である清原元輔。 成立は平安時代中期( 年頃)で、「女 房文学」の全盛期。 『枕草子』は知的な興趣を表す「をかし」 の文学。 ● ● 壺

ことを残念思いました。ホストの明順は、若い下女や近 所の農家の娘 を連れてきて、稲こきの様子などを披露 してくれまし。私たちは初めて見る 臼 うす などを珍しがって いるうちに、本来の目的であるホトトギの声を聞いて和 歌を詠むことを忘れてついつい楽しんでしまいました。

桐 房たちはうらやましがって、もう一台牛車を出して出かけ ようとしますが定子様にとめられ、しぶしぶ見送りました。 私たちは途中で競射をしている人たちを見かけてしば らく見物し、目的地の 明 あき 順 のぶ の 朝 あ 臣 そん の家に到着すると、早 速牛車から降りて家に上がりました。明順の家は田舎風 に簡素に造られ、馬の絵を描いた障子や、 網 あ 代 じろ 張りの屏 風など古風で、風流があります。うるさいぐらい一斉に鳴 きたてるホトトギスの声を聞き、定子様に聞かせられない

1 第 位 ~ 第 位 10

P.29 『枕草子』の主題は中宮定子の賛美。 枕草子 入試ポイント ● ●

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1000 主語判別問題が多いので、人物関係の 把握が読解の必須条件( 参照)。 「させたまふ」など最

文中の「せたまふ」 高敬語の主語は圧倒的に「中宮定子」。

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