みんゴロ古文出典
出題率 5 位 3.6 % 「昔男ありけり」で始まる『伊勢物語』は 歌物語 の最初の作 品であり、 平安前期に成立 した。『伊勢物語』は、別名を『在 五中将物語』 『在中将物語』 人公が六歌仙の一人、 在 あり 原 わらの 業 なり 平 ひら であり、彼が在五位の中将 であったところから呼ばれた書名である。業平は平城天皇の 孫にあたり、本来は皇族として高い地位に上れるはずであっ たが、藤原氏による他氏排斥によって政権の圏外に置かれる。 そこで彼を色好みの男として恋愛に生きるプレイボーイ的ヒ ーローとして伝説化するこになるのだが、それは 平安貴族 の美的な倫理である 「 みやび 」 の象徴 でもあった。全編は短 編物語であり、必ず歌が詠み込まれている。全 段を通じ て業平の一代記風に配列してあるが、大部分は虚構の物語。 入試でのポイントはやりとりされる 和歌の解釈 になるので、 『伊勢物語』の中の和歌に関しては「誰が誰に対して」 「どうい
『在五が物語』ともいう。それは主
125 う意味で」歌を詠んだのかに目を通しておくことが大切。ま た内容的にも平安貴族の男女の恋愛を描いて興味深いもの なので、出題された段に限らず、全編を是非読んでおこう。
平安前期 歌物語 伊 い 勢 せ 物 もの 語 がたり
歌 物 語
作者未詳
1000 頃
10C 中 10C 中 平 へい 中 ちゅう 物 ものがたり 語 多 とうのみねしょうしょうものがたり 武峰少将物語 色好みの平 たいらのさだふみ 貞文が 主人公 大 やまと 和 物 ものがたり 語
10C 中
伊 い 勢 せ 物 ものがたり 語
源 げん 氏 じ 物 ものがたり 語
『在 ざい 五 ご が物語』 ともいう。
『在 ざい 中将物語』
在 あり 原 わらの 業 なり 平 ひら が主人公 『在 ざい 五 ご 中将物語』
六歌仙の一人、
紫式部作
(『高光日記』)
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