みんゴロ古文出典
1 第 位 ~ 第 位 10
読解ポイント 粟田殿(道兼)は父兼家と共謀して花山帝を無理やり出家させた ことで有名。道兼兄道隆関白の死後、甥の伊周を退けて関白に 就任するがすぐに病死したため、「七日関白」と呼ばれた。 ★ 一行目の さ は直後の あさましう、まさなう、あしく
追ひおろさせたまふべきかと、かたがた見はべりしに、この君を御腰のほどに 引きつけさせたまひて、御手づからいみじう舞はせたりしこそ、楽もまさりておもしろく、 かの君の御恥もかくれ、その日の興もことのほかにまさりたりけれ。祖父殿もうれしと 思したりけり。父 大 おとど 臣 は さらなり 、よその人だにこそ、 すずろに 感じたてまつりけれ。かやうに、 人のためになさけなさけしきところおはしましけるに、 など 御末かれさせたまひにけむ。 舞台から追い下ろしなさるのだろうか」と方々が見ておりましたところ、中関白殿はこの福足君を御腰のあたりに 引きつけなさって、ご自分で、とても見事にお舞いになったことで、楽曲の音もひときわ勝って聞こえ、 あの福足君の御恥も目立たなくなり、その日の遊宴の興趣も格段に盛りあがったことだった。祖父の兼家殿もうれしく お思いになったことだ。父の道兼大臣は いうまでもない 、他人でさえ道隆殿の臨機のご処置に 思わず 感嘆申し上げたことだった。 道隆殿はこのように 人のために情け深い思いやりがおありだったのに、 どうして ご子孫が衰微しておしまいになったのであろうか。
「 」 「 」 (あきれるほどたちが悪くやんちゃ)を指示しており、その点 は子供般の共通性ではあるが、と述べ、しかしその程度は 並外れていることが以下の文章で示されている。 ★八行目の さ の指示内容は、何かの不都合が生じるに違いな いということ。それを多くの人々が予感していたのである。 『大鏡』 は 「道長伝」が最頻出 ですが、それ以外の人物につ いても主要なエピソードは把 握しておきましょう。 「 」
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