みんゴロ古文出典

易　　 難 入試 出題箇所を チェック ! 文章のレベルは易しめ だが、そ分内容的に つっこんだ問題がある ので注意。 物語は、 もののあはれ を知るを、むねとはしたるに、その 筋 すぢ に至りては、儒仏の教へには、 そむけることも多きぞかし。そはまづ人の 情 こころ の、物に 感ずる ことには、善悪邪正 さまざまある中に、 ことわり にたがへることには、感ずまじきわざなれども、情は、 われながらわが心にもまかせぬことありて、 おのづから 忍びがたき 節 ふし ありて、 感ずることあるものなり。源氏の君の上にて 言 ※ はば 、 空 うつ 　せみ 蟬 の君、 朧 おぼろ 月 づく 夜 よ の君、 藤 ふぢ 壺 つぼ の中宮などに情をかけて、逢ひたまへるは、儒仏などの道にて言は む ※ には 、 よに上もなき、いみじき不義悪行なれば、ほかにいかばかりのよきことあらむにても、 よき人とは言ひがたかるべきに、その不義悪行なるよしをば、さしもたてては 言はずして、ただその間の、もののあはれの深き 方 かた を、かへすがへす書き述べて、 本居宣長『源氏物語玉の小櫛』 明治大学 物語というものは、 ものごとのしみじみとした情趣 を知ることを趣旨としているが、その一々の内容に至っては、儒教や仏教の教えには、 反していることも多いのだよ。というのは、まず人間の心情が、ものごとに 感応する ことには、善悪邪正 さまざまある中で、 ものの道理 と違っていることには、感応してはいけない理屈であるけれども、心情というものは、 自 分 で も 自 分 の 思 い ど お り に な ら な い こ と が あ っ て、 自 然 と 押 さ え が き か な い 面 も あ っ て、 感 じ る と い う こ と が あ る も の な の だ。 光 源 氏 の 君 に つ い て 言 う な ら ば、 空 蟬 の 君、 朧 月 夜 の 君、 藤 壷 の 中 宮 な ど に 思 い を よ せ て、 お 逢 い に な っ た の は、 儒 教 や 仏 教 な ど の 道 で 言 う と し た ら 、 世にこれ以上はない、甚だし 不義悪行であるので、たとえほかにどれほどの良いことがあろうとも、 善良な人とは言いがたいはずであるのに、『源氏物語』の中ではその不義悪行である点については、それほど取りたてて 言 及 せ ず、 た だ そ の 間 の、 も の ご と の 情 趣 が 深 く あ る 面 を、 繰 り 返 し 繰 り 返 し 書 き 述 べ て、 DATA FI LE

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