みんゴロ古文出典

読解ポイント 鹿ケ谷の陰謀の場面。後白河法皇の近臣の藤原成親、西光が中 心となり、平康頼、僧俊寛らと平氏打倒を企てた陰謀事件。俊 寛の京都東山鹿ヶ谷の山荘で謀議をこらしたので、このように 言われる。多田行綱の密告によってこの陰謀は発覚し、後白河

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おほう候ふに、もて酔ひて候ふ」と申す。俊寛僧都、「さてそれをばいかが仕ら む ※ ずる 」と 申されければ、西光法師、「首をとる にしかじ 」とて、瓶子のくびをとつてぞ入りにける。 浄憲法印あまりのあさましさに、 つやつや 物も申され ず 。かへすがへすもおそろしかりし 事どもなり。 ○新大納言―この陰謀の首謀者である藤原成親。 ○瓶子―酒瓶。 ○笑壺―そこに触れられると笑わずにいられないような笑いのツボ。 多くおりますので、酔っぱらいました」と申し上げる。俊寛僧都が、「では、それをどういたしましょうか」と 申し上げると、西光法師が、「首を取る に越したことはあるまい 」と言って、酒瓶の首を取って席へお入りになってしまった。 浄 憲 法 印 は あ き れ る あ ま り、 ま っ た く も の も 申 し 上 げ る こ と が で き な い 。 な ん と も、 恐 ろ し い 出来事であった。

法皇の周辺から有力な近臣が追放され,法皇と清盛対立は決 定的になった。藤原成親、西光は殺され、平康頼、俊寛は鬼界 が島に流罪となった。 ★ 「 むず 」は「むとす」の転じたもので「 んず 」とも表記される。 基本的に「む」と同じ意味を持ち、打消の意はないので注意。 「全否定の副詞」ゴロ 「 つやつや の 皿にすべ っ てつゆ を おほかた こぼしちまった、 それでも あへてたえて る私」

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