みんゴロ古文出典

「人生でほんのしばらくの間でも父上とお別れしよな どとは思ってもみなかたことです」という歌をいつの

間にか書いていました。幼い頃私も旅の道中を経験し ているので、はるか父を思って恋しく、心細いことは この上もありません。

は涙でそれを見ることもできませんで 下手な和歌 が心に浮かび、ほかになんと言っていいかわからずに、

壺 途中まで見送った従者から渡された父からの手紙(和 歌)には、「思い通りにできる身であったら、あなたと別 れるあわれみをしみじみと深く味わうであろうに、今は 胸がいっぱいで、そんな余裕はありません」とあり、私

13 桐 せん。出発当日、出発の時刻がいよいよ近づくと父は私 の部屋の簾を引き上げて、少し私と目を合わせ、「それ ではお別れだ」と言って、涙をぼろぼろ落として、その まま出て行きました。私は悲しくて見送ることもでき ず、そのまま突っ伏してしまいました。

3 位 3 位 7月 日に父は常陸の国に単身赴任で下向することに なりました。出発の五日前になると、父は私と顔を合わ せるのもつらいらしく、私の部屋に入ってこようしま 子忍びの森 4

1 第 位 ~ 第 位 10

更級日記 入試ポイント ●

● ●

● ●

40 『浜松中納言 作者は少女時代『源氏物語』などの物 語を読みあさる文学少女だった。

宮仕えをして、昔夢見た物語世界と現実 との差に落胆、仏道修行を熱心に行った。

成立は平安時代中期。作者は菅原孝標女。

作品は作者が晩年、少女時代から現在 までの 年間を回想して書いた日記。

菅原孝標女は『夜の寝覚』 物語』を書いたといわれている。

作者菅原孝標女『蜻蛉日記』の作者、 藤原道綱母の姪にあたる。

67

Made with FlippingBook - Online catalogs