みんゴロ古文出典
「
読解ポイント 上達部や殿上人などの上級貴族と応対できるのは、清少納言の ような特定の女房だけだった。宮仕えに出ていた作者は自分に はその資格がないと思っていたが、訪れた源資通の優雅な態度 につられてしっかりと応対できために、資通は「まだ知らぬ 人ありける」と驚いた。この後作者は他女房とともに春秋優 劣論を展開し、さらに資通を喜ばせた。 ★「にもあらぬ」の「 に 」は断定「なり」の連用形。一方、 「とみに」 の「 に 」は副詞の一部。「こまやかに」「なかなかに」「艶に」 の「 に 」は形容動詞の連用形の一部。「読む程なり」の「 なり 」 は断定「なりの終止形。一方、 「しづやかなる」 「あはれなる」 の「 なる 」は形容動詞の連体形の一部。 「に」と「なり」の同形品詞識 別は大切です。特に断定の 助動詞なり」の連用形「に」 に気をつけましょう 艶 ※ ※
1 10 第 位 ~ 第 位
きびしう引き入りがたい節々ありて、われも人も 答 いら へなどするを、「まだ知らぬ人の ありける」など、めづらしがりて、 と ※ みに 立つべくもあらぬほど、星の光 だに 見えず 暗きに、うちしぐれつつ、木の葉にかかる音のをかしきを、 な ※ かなかに 艶 えん に をかしき夜かな。 月の くまなく あかからむも、 はしたなく まばゆかりぬべかりけり」など言ふ。 黙って引っ込むわけにもいかない話の節々もあって、私も朋輩も受け答えなどしていると、「まだ知らない人が いたのだね」などと、男は珍しがって、 急には 立っていきそうでもないうちに、星の光 さえ 見えないほど 暗いのに、加えて時雨が降って、木の葉にかかる音が趣深いのを、男は「 かえって優美で 風情のある晩 な。 月が すみずみまで 明るいようなのも、 間が悪く 面映ゆいものにちがいなかった」などと言う。 ※ ※ ※
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