みんゴロ古文出典

30 父が夢のお告げを受けたことなどから、上田秋成は生涯神 秘の存在を信じるようになった。最晩年の随筆『胆大小心録』 においても、まだ幽霊の存在を信じている心情を記してい る。小説を書き始めるのは 歳を迎えてからで、やがて 読 本 『 雨月物語 』を書くにいたる。この作品は主として中国の 白 はく 話 わ 小説 ( 口語・俗語で書かれた小説 ) を素材とする怪談小 説集であるが、上田秋成の学識がベースとなり、さらに独 自の怪奇幻想への感性が加わった傑作に仕上がっている。ま た賀茂真淵門下で学んだ国学思想が全体を貫いている点も 見逃せない。落語で有名な『怪談牡丹燈籠』と同様の作品が うえ 田 だ 秋 あき 成 なり 15 位 上田秋成は 江戸中期の読本作家 であり、また浮世草子作 家、国学者、歌人でもあった。幼年期に重い病気にかかり 九死に一生を得たが、その折息子の回復を神に祈願した養

読 よみ 本 ほん 収録されている。その後国学へと注力し、本居宣長とは古 代音韻、皇国主義をめぐって論争を行った。また、同時代 の井原西鶴に対抗心を燃やして浮世草子なども書いている。 晩年には 読本 『 春 はる 雨 さめ 物 もの 語 がたり 』、 随筆 『 胆 たん 大 だい 小 しょう 心 しん 録 ろく 』などを書いた。 〈前期〉 上 うえ 田 だ 秋 あきなり 成 『 雨 う 月 げつ 物 もの 語 がたり 』 日本の古典や中国 小説に題材を取っ た怪奇小説 『 春 はる 雨 さめ 物 もの 語 がたり 』 『雨月物語』の 姉妹編 〈後期〉 滝 たきざわ 沢(曲 きょくてい 亭) 馬 ば 琴 きん 『椿 ちんせつゆみはりづき 説弓張月』 ~ 『南 なんそうさと 総里見 み 八 はっけんでん 犬伝』 勧 かんぜんちょあく 善懲悪 の大長編伝奇小説 1776 1808 頃 1811 1814 1807 ˜ 1841

出題率 ~ 1809 上 1.8 %

読本作家 江戸中期 1734

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