語彙・テーマ

そのような捉え方は儒学にも反映され、江戸時代には日本でも受け入れられました。すると、奇妙なことが生じ たというのが、例文で述べられていることです。中国の文化は、中国風土において成立した「歴史的・具体的・ 特殊」なものにすぎません。しかし、日本の儒学者たちは、それを理想化し、「超歴史的・抽象的・普遍」なも のとみなしました。 彼らはその視点から「日本のおくれ」を強調します。しかし、現実の中国批判 することはありません。それは、 彼らは中国の文化を「普遍」的だと思い込んでいるだけで、本当に「普遍」的な立場に立っているわけではない か らです。 これは、アジアやアフリカの人たちを「野蛮」とみなしたヨーロッパ人と同じ見方ですね。 「特殊」にすぎない のに自らを「普遍」と思い込む、その思考のクセは、人類に共通する「普遍」的なものと言えそうです。

解説 「中華思想」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。中国を天下の中心である「華やかなる地」とみなす考 え方です。中華は天命を受けた天子が治め、その周囲には「 夷 い 狄 てき 」と呼ばれる文化的に遅れた異民族が住んでいま す。彼らは天子の徳を慕い、教えを請おうと中華の地にやってきます。このように、古来中国では、天子とされる 皇帝を頂点として、国内外の人びととの関係を垂直的な上下の関係として捉えてきました。

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