極める古文3 中堅~上位大突破編

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2

「極める古文」 シリーズ構成 古文を極め、 「合格」の頂を目指そう!

志望大学の目安表

国公立大

私立大

難 関 大 上 位 大 中 堅 大

旧帝大レベル (センター 85~90%レベル) 早大・上智大

G ※ MARCH レベル

上位国公立大レベル (センター 80%レベル) 地方国公立大レベル (センター 70%レベル)

関関同立 レベル

日東駒専 レベル 産近甲龍 レベル ※G=学習院大 M=明大 A=青学大 R=立教大 C=中央大 H=法政大

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基礎力完成

スタート

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3

1 本書は入試本 題を解く際には 2 問題を自力で解き終え 点だけを気にするのでは ましょう。示されている合 3 演習する際には、本番同様の「集 のうえで解説を読み、しっかりと復 る部分と「ポイント」でまとめられてい 心掛けてください。 4 この問題集を一通り解き終えたあと、もう一度 ともに、 「古文と口語訳の対照」のページを復習し 口語訳 なっているので、下段を見ないようにしつつ してみましょう。そうすることで読解力が飛躍的に向上 ※ 古文単語は『古文単語ゴロゴ』 、古文文法は『古文文法ゴロゴ』 、この二 に関してすべてが網羅的に掲載されているので、本問題集と併用して使えば威 「本書の利用法」

4

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5

目次

第 4講 『今昔物語集』 ◦ 「已然形+ば」=順接確 条件

第 3講 『源氏物語』 ◦ 主語判定の基本パターン

第 2講 『うたたね』

第 1講

◦ 副詞による係り結び ※出典解説「平安の説話」

◦ 助動詞 なり」の識別

◦ 「ぬ」の識別 ※出典解説「鎌倉時代の日記」

◦ 「なり」の識別 ◦ 「寝る」ことを意味する古語

『大鏡』 ◦ 助動詞「す・さす ※出典解説「歴史物語」

※出典解説「平安の物語」

―――――

――――――――――― ――――――――――― 駒澤大学

―――――――――――――――京都産業大学

◦ 謙譲の「給ふ」

◦ 二つの「給ふ」

◦ 「に」の識別 ◦ 口語訳問題の解法パターン

◦ 連動問題に注意!

文学部

経営学部

文理学部

法・経営学部

― ――――――――――

― ――――――

―――――

―――――

50

40

20

8

6

第8講

第7講

第6講

第 5講

 『蜻蛉日記』 ◦ 傍線部の理由を問う 解法 ※出典解説「契沖と賀茂真淵の著作」 「本居宣長」 ◦ 「やは・かは」 ※出典解説「平安の日記」  『とはずがたり』 ◦ 記述式の説明問題の解答の手順

◦ 「奉る」 ※出典解説「枕草子」

◦ 枕草子の世界 ◦ 敬意の高い尊敬語

『無名草 ◦ 「係り結び」の法 ◦ 「已然形+ば」が因果 ※出典解説「藤原俊成の女」

 『枕草子』

―――――――――――――

「反語」

――――――――――――――――立命館大学

――――

(石川雅望)

―――――――――金沢大学

◦ 「をかし」について

◦ 助動詞

◦ 「AてB」の形 ◦ 語幹と語尾の区別のない下二段動詞三つ ◦ 「なむ (ん) 」の識別

「る」 「らる」の四つの意味

― ――――――――――――――

2/ 10実施

文学部

文・政策科学部

― ―――――――――

――――

― ――――

108

92

64

76

7

講 『

第 1

学習テーマ  『極める古文』シリーズ の問題集のテーマは「実践力」 実践で生かせなければ意味がない。 うことと、 「合格点に到達できたかどう 大学によって古文の難易度が違うという点 与えられ、その中で現代文・古文(漢文)を解く 難易度がかなり違う。中堅私大から国立大までのバ 実の大学入試問題に対応する力をこの問題集で付けてい 今回は、問一で われている人物関係に気をつけながら正 問一 主語判定に近い問題といえる。 「誰の誰に対する動作か」という問いな 人物とその関係を正確にとらえる必要がある ここでは、文法的に「せたまふ まふ」の形がからんでいる で、まずそれをまとめよう。 37点だ!

「制限時間を意識して解く」

合格点は

問題編 02 ページ

とい

第1講  『大鏡』

助動詞「す 助動詞「す」 「さす 1 2 尊敬=~なさる。お~になる 助動詞「す」 「さす」 「しむ」の 2 尊敬+尊敬=~なさる。お~になる。 特に2の「尊敬+尊敬」を「最高敬語(二重尊敬 に使われると、 主語は帝レベルの高貴な人であることが 役+尊敬」=「~させなさる」になる場合もあり、特に上位 が高い。 1と2の見分けは文脈判断になるので、かなり注意深い読解が必要 ちなみに、 下に尊敬語「給ふ」などが付かず、単独で「す」 「さす」 「しむ」が ㋐は、 「求めさせたまひし」とあり、 「させたまふ」という形は「使役+尊 判別が必要だが、ここでは問い自体が「誰の誰に対する動作か」というものなの P OINT 使役=~させる。 「しめ給ふ」 の形をとる場合、次の二つの可能性があ 1 使役+尊敬=~させなさる。 「使役」の意 になる。

「させ給ふ」

「せ給ふ」

なければお しまったので、 になっていると判断 次に、 「なにがしぬ に対する」というのは、当 次に㋑だが、㋐の箇所で「帝が蔵 下にあたる「きむぢ」に命じて探させて 行かされたのは ぢ(=お前。ここ は ここまでの流れとしては、次のようになる。 帝(村上天皇) …………清涼殿の御前の梅の木が枯れた 蔵人(なにがしぬし) …帝の命を受けて、老練な繁樹に梅の木探 繁樹(夏山繁樹) ………京中歩き回って、やっとのことで美し 梅の木を 最後の㋒は場面が変わっている。 では、命令を受けた繁樹が、京中を歩き している) 」

がそれに当たる。選択肢では、

「帝が」新しい

蔵 くろうど 人 であった「なにがし(人物

清 せいりょうでん 涼殿 (天皇が日

「のたまひしか」の主語は「蔵人」で、

。そこで正解は4「蔵人→繁樹」 。

と、 「使役+尊敬」

「誰

10

第1講  『大鏡』

けたすばら ゐれ」と「いは ここでの「せたま 誰かに自分からの伝言 るじ(=貫之の娘) 」にい 当時は、こうした伝言を託す あるじ」は女性なので、 の間に、それぞれの召使的な人物が て 問二 和歌にしても解釈問題にしても、とにかくまず品 和歌や解釈の問題は、まず品詞分解するのが鉄則。 「勅/なれ/ば/いと/も/かしこし/うぐひす/の/宿/は/ 品詞分解したあとは、 「文法→修辞法→単語→文脈(状況)判断」とい 回の最大のポイントは、上の句での「かしこし」 、そして下の句での疑問「い しこし」だが、

「家あるじ」→「召使」→「繁樹」

解答

という形で、 「家あるじ」と「帝」

㋐=

1

㋑=4

㋒=7

11

カ ー しこし こ、 非常に

ここでの 「かしこし ことです」と、まず帝 こへ行ったのかしら) 』と して異議を唱えている。つまり うことに対して納得いかないという 3は×。また、4のように「難題を投げ 選択肢で迷うのは、1と2だが、1では「 無視した内容になる で×。一方2では「やんわ の趣旨を反映しているので、2が正解。 さて、やっとのことですばらしい梅の木を探し当てた、と思 のあった家の主は「貫之のぬしの御女」であった。 ここで、古典常識の力が必要になる。 の娘の家から梅の木を掘り取ったことを、娘が歌で「無風流な所業」であると指 問三 『 土

と さ 佐 日 に っ き 記 』を書いた

紀 きの 貫 つらゆき 之 は『 古 こ 今 きん 和 わ 歌 か 集 しゅう 』の撰者でも

恐れ多い

帝への敬意を払いつつも、うぐ

1(連用形「か

になっている。その意図と反対の内

あり、有名な歌人として知られていた。

。 「帝の勅命ですの

解答

12

第1講  『大鏡』

ポイント 問二の解答2も 連動問題に注意! 上位大学になればなるほど 意味では、 ている場合が多い。 逆に言えば、選択肢は「間違った話の まうと、本文には書かれていない間違ったス 大きく失点する可能性があるので注意。 ここでは貫之の娘の歌を読んで、無風流な所業をして をもしたりけるかな(=遺憾なことをしてしまったものだな の事件を一生の恥辱だとまで思ったのに対 て、それで 「望み ことで、帝は褒美として衣(きぬ)を繁樹に授けたのだから、本人に 痛感する出来事だった いうことになる。したがって正解は1。 ほかの選択肢はそうし 「無風流な所業」 をしたことへの言及や、 「帝から という内容がないので×。 P OINT

「問いと問いとは連動している」

場合が多く、

「問いどうしが相互ヒントの関係

解答

になっ

13

4は、ちょっとわかりにくい選択 所の解釈が問題になる。 5も、 1での説明通り人物関係が間違って 6は、まず「風流を解する~帝」という前半の 和歌の内容と合わないので×。 消去法で検討していった結果 2はその場でズバリ選 残った4が二つ目の正解。 「あまゆ」の意味は「恥ずかしが る人はほとんどいないはずだ しかし、 問三でも見たように、 遺憾なことをしてしまったものだなぁ) 」と嘆き、無風流なことをし になったという文脈 判断しよう。

問四 内容合致 1は、 「帝は さらに蔵人が繁樹に 2は、特に問題のな とわかる。 3は、1で説明したとおり「

はつかめるはずだ。そこで、4の「 (帝が)残念に思った」という説明が

帝が「遺恨のわざをもしたりけるかな(=

解答

2・4

14

第1講  『大鏡』

問五 文学史の が合否を左右す 受験生を数多く見て  『大鏡』は「歴史物 ここからわかるように、正解は1の『 以下は「花」と表記する) 。  「歴史物語」は『栄花物語』からスタートして もこの『大鏡』は最高傑作の誉れが高い。歴史物語 鏡』→『増鏡』の順。ゴロ通り 鏡』→『大鏡』→『今鏡』→『増鏡』となるので、こちらは  『栄花物語』 『大鏡』 『今鏡』 え 『栄花 (華) 物語』 ー い

平安時代成立 鎌倉時代成立  『水鏡』 南北朝時代成立  『増鏡』

 『水鏡』→『大鏡』→『今鏡』→『増鏡』

四鏡の内容順

、 大 『大鏡』 今 『今鏡』 水 『水鏡』 増 『増鏡』 し

「えーい、

「歴史物語」をゴロで

栄 えい 華 が 物語』だ( 「華」は「花」と書く場合の

成立順 大 だい 今 こん 水 みず 増 ま し」 と覚えておこう。また、

は、 「水大今増し」

栄 えい 花 が 物語』→『大鏡』→『今鏡』→『水

と覚えよう。

内容順

に並べると『水

15

歴史物語 当然といえる。それ また、 『大鏡』は構成上 という超老人の二人に、昔話を を思い出しながら語り、それを夏山 二人の話を何人もの人が聞いているのだ という形を取っている。そのため、別名『世 扱っている時代は、文徳天皇(850年)から 伝体で語 。内容は、各天皇にまつわる話や きなどだが、特に平安史上もっとも権力を握った政治家  「歴史物語」が文学史で問われる場合、中心になるのは『 品として、 『栄花物語』が問われる場合、また、成立順ではなく →『増鏡』 )が問われる場合、そして、 どがある。 に対する賛美 ち合わせている

が中心。これは 点がすぐれている。そ

『栄花物語 『大鏡』のほうは藤

「南北朝時代」に成立した作品として『増鏡』

対話形式(会話体)

赤 あかぞめ 染 衛 え 門 もん が書いたと 彰 しょうし 子 の父が藤原道長

30歳)が聞き手を代表して時々質問する、

を取ったことだ。主に大宅世継

14代176年で、紀

が問われる場合な

解答

16

第1講  『大鏡』

第1講

問五

問四

問三

問二

問一

1

2

1

2

1

6

6

6

4

4

7

7

6

37 点

17

いとをかしうあは 天暦の御時に、清涼殿 たりしかば、求めさせたま ぬしの蔵人にていますがりし時 りて、 「若き者どもはえ見知らじ。 めよ」とのたまひしかば、一京まかり歩 かども、侍らざりしに、西京のそこそこなる 家に、色濃く咲きたる木の 様体うつく き が侍りしを、 掘りとりしかば、 家あるじの、 「木  『大

にこれ結ひつけて持てまゐれ」といはせた ひしかば、あるやうこそはとて、持てまゐり てさぶらひしを、 「なにぞ」 とて御覧じければ、 女の手にて書きて りける、

第1講

勅なればいともかしこしうぐひすの宿は と問はばいかが答へむ

たいそう趣があり この天暦という さったが、だれそれが蔵人でいら が 都中を探し歩いたけれども、適当な梅の木がご した 、西の都のどこそこにある家に、色濃く咲い 子が見事な その家の主人 、 「その梅の木に れを結びつけて持って参 しなさい」と だろうと思って、 したのを、 ところ、女の筆跡で書いてありました歌は、 勅なれば…= てしまったので、 受けして、 おまえが探せ

召しの梅の木は差し上げますが、この木にいつも来慣れてい

召し使いに 帝 は 、 「これは何か」とおっ ゃってご覧になった

木が ありましたのを見つけて、堀りとったところ、

村上 帝 の御代に、清涼殿の御前 帝 が代わりの木を手に入れよう 「 若い者たちは梅の木の良し悪しを見分

」 と その蔵人が

私(=繁樹)が 帝の 仰せなので非常に恐れ多いことです。

言わせなさったので、何か訳があるの

おっしゃったので、

それを持って内裏に参上しま

この勅命を

私(=繁樹)

探させな

で 、様

18

とありける の家ぞ」とたづ ぬし 御女の住む所 をもしたりけるかな」 しける。繁樹今生の辱号は さるは、 「思ふやうなる木持て とて、衣かづけられたりしも、辛く とて、こまや に笑ふ。

る うぐいすが ら、どのように と書いてあったので 何者の家か」とたずねさ の娘さんの住む家であった。 たものだなぁ」とおっしゃ て、 繁樹がこ 世に生きている間での最大 ざいましただろうか。そうだけれども、 「 て参った」と、 らいことになってしまったと言っ 、

笑う。

※  

線は口語訳のポイントとなる箇所に引かれてい ます。自力で口語訳する時に 意して下さい。

帝から

ご褒美として衣類をいただいたのも、つ

繁樹は

線の箇所を特に注

親しげににっこり

19

P OINT 問一  「なり」の識別問題。 「なり」の識別は 「に」の識別についで 「なり」の識別 1 断定の助動詞「なり」   「~だ・~である」と訳せる。接続は体言か連体形。 第 2 講 『 学習テーマ 古文文法の総仕上げ的な問題 ターしてしまおう。また「 り」と「ぬ」の 釈や説明問題に で絡んでくる大切なものだけに ほかにも基本的な単語の問題や口語訳の解法パタ 題が多いが、くらいついていこう。

阿 あ 仏 ぶつ 尼 に の『うたたね(の記) 』は の恋と紀行を後でまとめたもの 今回のポイントは、同形品詞識別

といえる。かなり長いポイント解説だが

合格点は

32点だ!

「に」の識別は、

問題編 06 ページ

20

第2講  『うたたね』

2 伝聞・推 伝聞は「~そ 動詞「なる」   「成る」と漢字を当てて 4 ナリ活用の形容動詞の活用語   「に」の識別と同じで、全体で物   「 ※基本は1と2の助動詞「なり」の識別だが 4の形容動詞の活用語尾の場合もある。まずは「 まず傍線部aの「なり」が何かを識別しよう。 「なり」が のがポイントで、ここでも「師走にもなりぬ」=「師走に成った で傍線部aは動詞「なる」の連用形と判断できる。 そこで、傍線部c~hに「成る」と漢字を当ててみて意味が通らないも なりけり」だけが「七日の月であった」 訳せるので、 「なり」は断定の助動 ることがわかる。正解は 接続は終止形だ 3

かなり」 「

げなり」 「

3「断定の助動詞の連用形」 。

らなり」となるものが多い。

21

P OINT

「なりけり 「かくなり」の 問二 「に」の識別  「に」の識別の解答には七つ していくことにしよう。 1 完了の助動詞「ぬ」の連用形 連用形に付き、下に助動詞の「たり」 「け

連用形

※「に」の下に助動詞「たり」 「けり」 「けむ」 「き」 活用したものが 動詞「ぬ」の連用形! これをゴロでまとめてみよう。

に た 景 色 は完了!

+ 「に

完 了「ぬ

」 +

」用

け む ( け ん) ・

け り・ け る・

た ら・ た り・ た る・

き ・ し ・ し か

け れ

け め

た れ

(せ) き/し/しか/〇

〇/〇/けむ けむ/けめ/〇

(けら) 〇/けり/ける/けれ/〇

たら/たり/たり/たる/たれ/たれ

解答

22

第2講  『うたたね』

2 体言・連体形 も・ぞ・なむ・や・ ※ 「にや」 「にか」の下の「あらむ」 、 「にこそ」の下の「あら 試でよく問われる。 b 下に「あり」 「おはす・おはします」 「候ふ」 「侍り」 「なし」があ 断定の a 体言 連体形

+ に

「なり

断定

も + なむ (なん) 」用 ぞ

やかこそ

下に「 ︸ 下に「

あらめ

あらむ

」などが省略されている場合が多 。

」などが省略されている場合が多い。

23

体言 ※ もともと断定の助動詞「なり」は が文中で使われると、それとペアの「 「 格助詞「に」 体言・連体形に付いて、活用しない。格助詞「に」は基 ※ 接続助詞「に」との識別 大切。訳してみて 「~ので」 「~ 接続助詞、 「に」を「に」としか訳さないのであれば格助詞、と 接続助詞「に」 連体形に付いて、活用しない。下 、 」がある場合が多い。訳がポイント a 順接「~ので」 + 連体形 3 4

に 」 おはす

「なり

断定

+(助詞)…

」用

アリ 侍 候 だ !

侍りなし

候ふ

あり おはす・おはしま

※ 「に」の下に「おはす」 「あり」 「侍り」 「 あれば断定!

24

第2講  『うたたね』

5 ナ変動詞の連用形の一部 副詞や助詞の一部 副詞「つひに」 「さらに」 「げに」などの「に」 。 助詞「だに」 「にしかな」などの「に」 。 6 形としては「死に」 「 7

b c 単純 ※「~ので」 「 形容動詞の連用形 物事の状態・様子・性質を

― 「 に 」の上「 ら

全体で一語の形容動詞

か げ ら 」 形容動詞

往 い に」 「 去 い に」の三つしかないので、覚えておけば大丈夫。

― かに」 「

「きよ

「おぼろ

「みそ

― げに」 「

げ に」 ら に」 ︸

か に」

― らに」となる場合が多い。

一語の形容動詞

25

それぞれ というのが最も くい「接続助詞」と まず、 連体形に接続し、文と文を でないものを探していこう。 1は格助詞。格助詞は体言に付い 多い。断定の 動詞「なり」の連用形と 2は形容動詞「ほのかなり」の連用形活用 も確認しておこう。 「ほのかな状態・様子・性質」 3は 4は完了の助動詞「ぬ」の連用形。ポイントにあるように 6は格助詞か接続助詞かで判断に迷う。本文を見ると「に」の直後に「 取れるが、 訳してみると「春ののどやかなるに」=「春ののどかな日に」とな という体言 省略されているのを補っ 訳すのがポイント。 ものは形容動詞である場合が多 。 の連用形 5は

だ。 1と同様のポイントを押さえて格助詞と判断する。

傍線部bの「に」は「 1と同様のポイントを押さえて格助詞と判断する。体言に

「ほのかなり」全体で、物事の状態や様子や性質

に 」=「話などしている

「にけり」の時の 「に」は完了の助動詞 「ぬ」

と 」と訳せるので、接続

― かに」

となっている

こと

26

第2講  『うたたね』

P OINT

「ぬ」の識別

7は形容 のがポイント。 9は断定の助動詞「 に係助詞が付いている場合 のを忘れないようにしたい。 10は完了の助動詞「ぬ」の連用形。こ の助動詞「ぬ」の連用形 以上をいかに速く正確に識別できたかを確 これも「に」の識別と同じで、結局口語訳ができれば問題はない。 「ぬ」を「 8は 問三 未然形+ぬ=打消の助動詞「ず」の連体形=「~ない」と打消の意 連用形+ぬ=完了の助動詞「ぬ」の終止形=「~た」と完了の意がある。 ぬ 1と同様のポイントを という感じで文法問 文法問題第三弾。これでもかっ!

。 「し」が過去の助動詞「き」の連体形

「 「にや」などのように 。 「であろうか」と訳して

「にし」の時の「に」は完了

― かに」

解答

という形に

10。 完答で5点だ 2 ・4 ・7 ・9 ・

10

27

と訳すかで しかし、見た目 未然形と連用形が同形 1 道過ぎぬ。 =道を過ぎ =道を過ぎない 1の 「ぬ」 はガ行上二段動詞の 「過ぐ り結び」もないので終止形とわ る。2の「 助動詞「ず の連体形。1と同じく文末にあるの になっている 1の口語訳は「道を過ぎた」 、一方の2は「道を過ぎ 見た目で直感的に判断するのは危険だ。きちんとした文法的 では、傍線部を順 見ていこう。 ⑴の「ぬ」は終止形なので完了。文末にきていて、特に「係り結び ⑴=4 ⑵の「ぬ」は終止形なので完了。 と 前は文末と同じで、 係り結び」 ⑵=4 2 道ぞ過ぎぬ。

ので、文末の「ぬ」は打消「ず」の連体形というこ

「係り結び」の「結び

係助詞「ぞ」が上にあり、

28

第2講  『うたたね』

 「物思うこと」

⑶の「ぬ 体形だ(接続助 て「まったく~ない ⑷の ぬ」は連体形 ⑸の「ぬ」は終止形なの 止形、と覚えておこう。⑸=4 ⑹の「ぬ」は終止形なので完了。 ので、終止形。⑹=4 選択肢が ロの「やりかへす」は文脈判断が大切。重要古語の「やる」は 心を晴らす」 問四 単語問題は『古文単語ゴロゴ』が威力を発揮する。 イの「心尽くし」は、 所ヅックシ

10個もあるのに、使うものは

物思う

≒ 「気をもむこと」ということで、4が正解。

こころづくし=物思うこと

解答

4と 7の二つだけという、ちょっと意地悪な問題だ

⑴=4

⑵=4

⑶=7

⑷=7

⑸=4

⑹=4

29

その場合の 当て、意味もそ あるので 「遊びで ハの「あなむつかし むつかし 現代語の「困難だ」の意味の「難 を表す。ここでの「むつかし」は、 「い 問五 問四と同じく、 『古文単語ゴロゴ』をしっかり覚 文脈からの判断も怠らないようにしよう。 Aの「雪かきくらして」は、 「かきくらす」がポイント。 柿くら って す っかり ゴロでは「心を暗くする」という意味だが、景色に対しても「一面に暗 直後の「風もいとすさまじき日 の並列関係であるところからも 4が正解 Cの「見し夜のかぎりも今宵ぞかし」には、特に重要古語が含まれていない。 い試験

いやだ

心が暗くなる

むつかし=いやだ

となり、正解は

かきくらす=心を暗くする

≒ 「めんどうだ」ということで、4が正解

解答

イ=4

「破る」と

ロ=2

ハ=4

30

第2講  『うたたね』

P OINT

は口語訳問 検討していく。 口語訳問題の解法 まず品詞分解する。 見/し/夜/の/かぎり/も 助動詞や助詞など、文法的に確実 最後に文脈判断し がら、人物関係 ここでは意外なところにポイントがある。 「見 過去の助動詞「き」は直接過去を表す。 それに対して「けり」は間接過去を表す。  「見し夜」の「し」は過去の助動詞「き」の連体形。 「き」は直接 の経験として「何を直接見た」のかがポイントになる。まず、過去の助動 として、選択肢 次に、この文脈では単に月を見た とを思い出すのでは、 「ただその折の心地 1 2 3

1と 2は過去形になっていないので×。

31

P OINT

はつながら という文脈であ Gは「しるし」で ここでの「しるし」は名詞で の助動詞「なり」の連用形。 問六  「いぬれ」は、下二段動詞「いぬ」の已然 文脈から判断できる。直後の「まどろむ」 「起き  「みな/いぬれ/ど、/露/まどろま/れ/ぬ/ な寝てしまったが、わたしは全く眠れないので、そっと に、 「いぬ」は「眠る」の意味なので、正解は6「寝ぬれど 「寝る」ことを意味す 古語 古語では「寝る」ことは、 「寝 ( ) 」 「寝 (い) ぬ」 「寝 (い) も寝 尊敬語では「おほとのごもる」を覚えておこう。このうち「寝 (ぬ) 」は下二

シ ー ルし っかり、

効き目

4は×。 「愛

はっきり

霊験 導師

しるし

1(名詞)効き目。霊験 2(形容詞)はっ りしている ︸

解答

と訳してみるとわかるよう A=4

C=3

G=3

32

第2講  『うたたね』

「ね/ね/ぬ 寝/寝/寝/寝る となり、未然形・連 然形は「ぬれ」であるこ また、 「寝 (い) も寝 (ぬ も寝 (ね) ず」=「寝ない」と訳 問七 問五のCと連動するが、 ここでは「あの方」 のことを思い て、 「御面影さへ、 さし向ひたる心地するに」とある「御面影」 ているのは「私」ということになる。正解は5「私があの方と 。 問八 こうしたパターン文法問題は確実に得点しよう。 「に」の識別のところでも 「に」は断定の助動詞「なり」の連用形。そして、 「にや」の下に省略されてい と訳さないようにしよう。

芋ぬ くぬく

寝る

寝 い も 寝 ぬ =寝る

解答

解答

33

「にや」 「 「にこそ」の下 省略されている「あ が連体形になっ こと うに打消の内容が省略されるこ 問九  「思ひ立つ」ものとしては、いろいろ がポイント。ここで「思い立つ」 とは、直 の中の仏様の霊験であろうか」とあるように 「 話の内容が「仏様」がらみのときは、まず「出家」を疑 いろいろと気をもむことの多かった作者にとって、思いきって かげであり、 「うれしかりける」ことであったという文脈で、正解は 問十 内容合致問題の解法としては 「消去法」がベスト。選択肢で間違っている箇 1は問九でも見たように、 決心したことは「出家すること」 であって「旅に出

解答

解答

34

第2講  『うたたね』

3は第一段 「あの方からの あ嫌だ」と思ったの

2・ 4・ 5は、第二・第三段落の

解答

2 ・4 ・5

35

阿仏尼の生きた鎌倉時代中期には諸交通の た。古くは『土佐日記』も紀行文としての面をも た。本格的な紀行文としては、 鎌倉時代の『 と続く そして江戸時代には松尾芭蕉の五大紀行文が書 出 典 解 説

 『うたたね ( 恋と紀行を後でまと た『 十 い ざ よ い 六夜 日 に っ き 記 』が入試で頻出する。

ずが り』 『

阿 阿仏尼 仏尼 さん、

中 なか 務 つかさの

十 『十六夜日記』 六 夜

内 な い し 侍 日 に っ き 記 』がある。

に う 『うたたね (の記) 』 た た ね

海 かい 道 どう 記 き 』 『

阿 あ 仏 ぶつ 尼 に の作品で、注に

と 『とはずがたり』 は ず 東 とう 関 かん 紀 き 行 こう 』に始まり、 阿仏尼の『十六夜日記』

るいじゃ

『中務内侍日記』

な か

36

第2講  『うたたね』

第2講

問十

問九

問八

問七

問六

問五

問四

問三

問二

問一

2

5

1

6

2

3

5

4

4

4

3

3

3

3

3

4

4

3

2

4

5

7

3

4

7

各2

各2

各2

9

7

10

4

完答5

4

各2

32 点

37

さるは月日 そへて堪へ忍ぶべき心地もせ ず、心尽くしなることのみまされば、よしや 思へばやすきと、ことわりに思ひ立ちぬる心

師走にもなりぬ。 すさまじき日、いとと 二三人ばかりして物語など く更けぬとて、人はみないぬれ まれぬに、やをら起き出でて見るに 雲がくれたりつる月の、浮雲まがはずな がら、山の端ちかき光のほのかに見ゆるは、 七日の月なりけり。見し夜のかぎりも今宵ぞ かしと思ひ出づるに、 ただその折の心地して、 さだかにも覚えずなりぬる御面影さへ さ 向ひたる心地するに、まづかきくらす涙に月 の影も見えずとて、仏などの見え給ひ に やと思ふに、 恥づかしくも頼もし もな ぬ。  『う

第2講

そうはいうものの 月日が経つにしたがって堪え忍ぶことの できる心地もせず、 気をもむことだけがまさってくるので、 ええ、

真っ先に心が暗くなってしまう涙に月の光も見えないといっ て、仏などがお姿を現しなさったのであろうかと思うと、恥ず かしくも頼もしくもなった。

陰暦の十二月にも 降って風もとても激しく 降ろしてまわって、 、 三人 に、夜もたいそう更けたと言って が、 私は まったく寝ることができないので、そ みると、宵の刻には雲隠れしていた月が、 がら、山の端に近い光がほのかに見えるのは たのだなあ。 あの方を最後に 日の月の夜だったよと思い出すと、 まるでその折の心地 はっきりとは思い出せなくなってしま た も、 私があの方と

今差し向かっているような心地がする時に、

見た夜も、ちょうど今夜と同じ七

あの方の

御面影まで

38

のつきぬる しかりける。 「 と言へばえに、悲し 春ののどやかなるに る手習の反古など、やりか の御文どもを取り出でてみれば づきそめしはじめよ 、 冬草枯れ果 折々のあはれ忍びがたき節々を、うちと 聞えかはしけることの積もりにけるほども、 今はと見る あはれ浅からぬなかに、いつぞ や、常よりも目とどまりぬらんかしと覚ゆる ほどに こなたの主、 「今宵はいと寂しくも の恐ろしき心地するに、ここに臥 給へ」と て、我がかたへも帰らずなりぬ。あなむつか しと覚ゆれど、 せめて心の鬼も恐ろしけ ば、 「帰りなん」とも言はで臥しぬ。

帰らなくなってしまった。ああめんどう と思うけれども、と ても自分の心の鬼の出家の決意も恐ろしい で、 「

ままよと決 る決心がついた とうれしかった。 「 て言おうと思っても言え 春ののどかな日に、なんと た紙などを破ってしまうついでに 出してみると、梅の枝が色づき始めた てるまで、四季折々のしみじみとした耐え 打ち解けて書き交わした文章が積も た のを これが最後と思って見てみると、感慨が浅くない中 たいいつのころのものだったかなあ、といつもよりも目 まっているよ、と思っているうちに こちらの部屋の主が、 晩はとても寂しくなんとなく恐ろしい心地がするので、ここに 一緒に横になってください」 言うので、

に 帰ろう」とも言わないで

そのままその部屋で

あの人の

仏様の

私も 自分の部屋へも

お手紙などを取り

霊験であろうか

横になった。

自分の部屋

39

3 講 『

学習テーマ

いよいよ入試出典№1の の一部分を出題すると人物関係 については全体のストーリーを知っ 『あさきゆめみし』や拙著『源氏物語を 多いので、機会を見ては『源氏物語』に触れ 今回は「主語判定の基本パターン」について学 は避けて通れない大事なものなのだ。 問一  「ゆゆしき/まで/をかしげなる」の解釈のポイントは、  「ゆゆし」 は元々 「不吉だ・忌まわしい」 という意味であったが、そこ 不吉なくらいすばらしい、という意味が生じてきた。さて選択肢を見ると、こ しては、イの「 UUC

コーヒーとは、

不吉なほど

はなはだ 美しい」しか該当するものがない。当時、美しすぎる人は、鬼神に魅入られ

合格点は

不吉だ

、 すばらしい

34点!

ゆゆし

3すばらしい

1はなはなだしい

2不吉だ

問題編 14 ページ

40

第3講  『源氏物語』

て早逝する しい様」の意で 傍線部⑵の次の文の げて」とあるので、ここで 判断できる。これを文中から探 らない。実は前書きをよく読むと「 かない。ちょっとしたひっかけの問題だ 「前書き」や「注」も解答を導く重要なヒントを  「さるべき」というのは、 ラ変動詞「然 (さ) り」の連体形「さる」 + き」から成り立っている。直訳すると「そうあるべき」 「そうなるはずの」と 1しかるべき、2当然だ、3立派だ、の三つの意がある。選択肢を見ると、エが 問二 問三 まずは「さるべき」のゴロから。 猿ベキ

ッ、 鹿ルベキ

ッ、 当然 立派だ

さるべき=

1しかるべき

2当然だ

3立派だ

解答

解答

筑紫

41

ので、これ なぜ「第一候 るからだ。そこで「 指していると推測され にも知らせた まつりて」と思 大臣」 以外にはないだろう。したが それ以外は、ア「夫となるべき」 、イ も本文に根拠がないので×。ウの「都で待っ が都で待っていてくるかどうかは、本文からは判 形容詞「うしろめたし」は「心配だ。気掛かりだ」という意をもつ (終止形) 」になっているが、基本的な意味は変わらない。動詞的に訳せ 問四 今回の単語に関してはゴロで一発だ。

後ろ の 目 、 確 かに 心配だ

玉 たまかずら 鬘 の育ての親である

。 少 しょうに 弐 が重病にかかり、いよいよ

解答

うしろめたし=心配だ

心配に思う

直接的には「

別解

頭 とうの 中 ちゅうじょう 将 =内大臣」のことを

心配する・気掛かりに思う

解答

42

第3講  『源氏物語』

問五 主語判定の基本パター 接続助詞「て・つつ・して・で ど」を挟むと主語が変わる可能性が高 接続助詞「て・つつ・して・で」 ※「を・に・ば・ど」を二回挟んで主語が二回変わると、結局B=D ポイント通り、 「て」でつながれたAとBの主語は同一である可能性が高い はれに心細く『て』 」とあるので、傍線部の主語に当たる人は、同時に「ただ京 P OINT 接続助詞「を・に・ば ど」 接続助詞「を・に・ば ど」

D (述語

C (述語

B (述語

A (述語

4)

3)

1)

2)

配点

※「心配だ」

CとDは違う主語

BとCは違う主語

AとBは同一主語

43

語でもある あはれに心細く ただ京の出立をすれど では、この場面で「玉鬘」を連れ のは、育ての母に当たる「乳母」だが、 という選択肢があるので、 これが正解。ちな のこ であり、 「館の人」というのは「官邸の役 問六 文中から心中語の部分を抜き出す問題。 この文章は全体が二つに分かれているが、後半部分ではす から探すことになる。問三でみたように、 「さ べき人に 知ら 鬘の将来を案じている部分な で ここを含む前後が解答箇所になる 部分が決まる。 A B

解答

44

第3講  『源氏物語』

心中の思い 「心中の思い」 など 候補としては、6行目の と/と」 の二箇所。この二つを 配に思う」があるので、どうやらこ 次に、どこからがスタートなのかを探 るさまに放れたまはむとすらむ」=「このう 流浪な ることであろう」 いう部分からが、少 少弐が十歳になった玉鬘の不吉なほど美しい様子を

解答

我さへうち棄~なりぬること

45

 『源氏物語』 はれ」 の文学と呼ばれる。 江戸時代 の本質を「もののあはれ」 にあると評し 平安時代には、 『伊勢物語』から始まる「 物語」の系譜とがあったが、この『源氏物語』で 「歌物語」 出 典 解 説

『 平 へいちゅう 中 物語』

『 伊 『 大 や ま と 和 物語』

清 せいしょうなごん 少納言

学史上、 后で、 藤原氏の栄華の 文単語ゴロゴ』 や『古文出

せ 勢 物語』

紫式部作

 『源氏物語』

燦 さんぜん 然 と輝く大傑作だ。 作 の随筆『枕草子』 が「をかし」

 『 落 おちくぼ 窪 物語』

 『 宇 う つ ほ 津保 物語』

 『 竹 たけとり 取 物語』

 「伝奇 (作り) 物語」

本 もとおり 居 宣 のりなが 長 が『源氏物語玉の

紫 むらさきしきぶ 式部 によって書かれ

小 お 櫛 ぐし 』 において、

『源氏物語』

54帖。 日本文

46

第3講  『源氏物語』

第3講

問六

問五

問四

問三

問二

問一

我 さ へ う ち 棄 ~ な り ぬ る こ と

エ 心配に思う

筑紫

8

8

8

8

8

10

34 点

47

少弐、任はてて上 きほどに、ことなる勢 つ、すがすがしくも出で立 病して、死なむとする心地にも ばかりにもなりたまへるさまの、ゆ でをかしげなるを見 てまつりて、我さ ち棄てたてまつりて、いかなるさまに放れた まはむとすらむ。あやし 所に生ひ出でたま ふも、かたじけなく思ひきこゆれ 。いつし かも京に率てたてまつりて、さるべき人にも 知らせたてまつりて、御宿世にまかせて見た てまつ むにも、都は広き所なれば、いと心 やすかるべしと、思ひいそぎつるを、ここな がら命たへずなりぬることと、うしろめたが る。男子三人あるに、 「ただこの姫君京に率 てたてまつるべきことを思へ。わが身の孝を  『源

第3講

三人いたが、それらに、 「ただこの姫君を京にお連れ申し上げ なくてはならない、と肝に銘じておけ。私 死後 供養のこと を考えるな」と言い置いた。

少弐は は 遠い旅程であり、そのう ぐずしていて、思いきって旅 病気にかかって、 いよいよ死のう 玉鬘 )が十歳ぐらいに成長なさっている姿 いのを見申し上げて、 「この私までもが て、どんなふうに流浪なさることであろうか。 おいて成長なさるのも、恐れ多 とと思い申し上 も、早いうちに京に連れ申し上げて、しかるべき人(= 本当の父である内大臣 運勢にまかせて見申し上げるとしても、 都は広いところなので、 とても安心であろう」と 心の準備をしてきたが、 まま命が絶えてしまうとはと、心配に思う。

大宰府の

任期が終わって上京

)にもお知らせ申し上げて、その後は御

姫君を

少弐には

見捨て申し上げ

少弐は

男の子が

京まで

玉鬘の

この

48

ば、な思ひ その人の御子 だ孫のかしづくべき れば、人に見せず、限 るほどに、にはかに亡せぬ 細くて、ただ京の出立をすれど 仲あしかりける国の人多くなどして かうざまに怖ぢはばかりて、我にもあら を過ぐすに、この君ねびとと ひたまふまま に、母君よりもまさりて清らに、父大臣の筋 さへ加はればにや、品高くうつくしげなり。 心ばせおほどかにあらまほしうものしたま

ふ。聞き継いつつ、好いたる田舎人ども、心 かけ、消息がる、いと多 り。ゆゆしくめざ ましくおぼゆれば、誰も誰も聞き入れず。

せず、ただ と、わざと言いつく う大切に養育し申し上げ しようとしたけれど、この少弐と かったことなどが原因で、ああだこう ている気もしないで年を過ごすうちに、こ につれ、 母君(= の血筋までも加わったからであろうか、上品でかわ 風情である。気立てものんびりと理想的でいらっしゃる ら次へ聞き伝えては 寄せて、愛の手紙を出したがる者が、たいそう多かった。 者たちは 入れなかった。 ので、

姫君のこと

残された者たちは

縁起でもなく

だれそれの 孫 で 、大切に養育し

夕顔 )よりももっと美しく、 父大臣(=

姫君に

心外に思われたので、誰の求婚も受け

しみじみと心細く、ひたすら

心ひかれる田舎の人たちも思いを

少弐が

亡くなった

内大臣

家の

人だ

49

4 講 『

学習テーマ

今回の最初のポイントは 順接仮定条件なのかをしっかり ら、次は接続助詞「て」 「で」 「に が大切だ。接続助詞を軽視している人が ながり(順接 で接続助詞を制覇してほしい。 次のポイントとしては、敬語 「給ふ」を学習す の識別は入試で頻出する。ここで一気にマスターしてし ほかにも助動詞「なり」の識別や、副 による 係り結び ので、気を抜かず確実に勉強していこう。この問題集もちょうど せず、逆に調子を上げて勉強していこう。 問一 古典常識の「読み」を問う問題だ。こうした知識問題は私大に多いので、 『 ロゴ古典常識

or逆接)に関係する重要なものなのだ。是非今

12」を確認しておこう。

合格点は

36点だ!

問題編 18 ページ

50

第4講  『今昔物語集』

アは音読 「行幸(ぎょうこう 「御幸(ごこう・みゆ ここは醍醐天皇のおでかけな イは「ぬりごめ」と読む。意味は から出入りする部屋」 。衣服や調度類を ウは「は (きて) 」 。刀を帯刀することを 問二 aの「をかしき」は清少納言の『枕草子』で有名な単 『源氏物語』の「あはれ(なり) 」と並んで平安朝の代表的 な「しみじみとした情趣」を表すのに対して、 「をかし」は「知 bの うるはし」は、現代語の語感だとみずみずしい美のように感 表している。正解 1。重要単語なのでゴロで意味を確認しておこ 。

ウ ー ルはし

っかり

整っている

=上皇・法皇・女院の

うるはし=整っていて美しい

解答

ア=ぎょうこう(ぎょうごう)

イ=ぬりごめ

ウ=は

51

cはまず 「已然形+ば」 ~たので。~たから ~たところ。~すると。 ~といつも。 (恒常条件)  「ところせし」は「所狭し」と漢字を当て、 原義は「場所が狭い」の意だっ 屈だ」→(狭苦しく感じるくらい) 「いばっている」→「 おげさだ」の意が生 P OINT 1 2 3 選択肢を見ると、 由の訳になってい ものは1と3だ。院と幽霊の 前は誰だ」と問うたのに対して、 幽霊の融が「この 3の「家屋なのですから、住んでおります」では文脈上 となっている1が正解。 dの「ところせし」は、意味が複数ある重要単語だ。

所 、 摂 政 とは おおげさだ

2と 4は「~たら」と仮定条件の訳になっているの

、 窮屈な

奴め、

いばる

な!

ところせし

。順接確定条件の原因・理

1おおげさだ 3いばっている ︸

2窮屈だ

52

第4講  『今昔物語集』

ころせし」 ば」 ) 、恐縮し 問三 敬語を苦手とする受験生 い。敬語が苦手な人は『古文文 いの「奉る」は、 謙譲語と尊敬語 「宇多の院に奉りたりけるなり」=「宇 普通の語に改めると「与ふ(与える) 」にな ろの「おはします」は尊敬語で、 「おはす」よ  「おはします」を普通の語に改め と、 「あり」 「行く 醍醐の天皇は御子で「いらっしゃったので という文脈なので、 はの「参る」 、いの 奉る」と同様、謙譲語と尊敬語の場合があ よめきて参る気色のありければ」=「誰かがそよそよ 衣ずれ 音をさせ と訳せるので、 「参る」を普通の語に改めると「来(く) 」になる。現代語で 大 橋(

お ー

はし )巨泉

ます ます いらっしゃる

解答

い=与ふ (与える)

ここでは謙譲語で「差し上げる」 「

おはします=いらっしゃる

解答

ろ=あり (ある)

a=4

b=1

は=来 (来る)

c=1

d=3

O K。

53

P OINT

問四  「給ふ」の識別は敬  「給ふ」という動詞には「四段活用」と 四段活用は「は/ひ/ふ/ふ/へ/へ」 下二段活用は「へ/へ/〇/ふる/ふれ/〇」 これをみると「は/ひ/ふ」は四段活用にしかなく、  「給は/給ひ/給ふ」の きは四段活用=尊敬語  「給ふる/給ふれ」のときは下二段活用=謙譲語 とわかる。これが「は・ひ・ふ」は尊敬、 「ふる・ふれ」謙譲とい 一方、 「給へ」はどちらの にも出てくるので、活用形で判断する  「給へ」=已然形・命令形=尊敬語(四段活用)  「給へ」=未然形・連用形=謙譲語(下二段活用) とまとめることができ 給へ」で悩め! ということだ。 二つの「給ふ」

「 は・ひ・

ふ 」は 尊敬 、 「 ふ る・ ふれ 」

配点

※いで、 「や

謙譲 、 「 給へ 」で悩め!

54

第4講  『今昔物語集』

さて、こ いる箇所なので 選択肢を見ると、 助動詞「り」の連体形、 と へ」が謙譲語であるためには、 件(=もし~ならば)を表すので 残った 断定の助動詞「なり」   「~だ・~である」と訳せる。接続は体言か連体形。 2 伝聞・推定の助動詞「なり」 伝聞は「~そうだ・~と聞いている」 、推定 「~らしい・~ 接続は終止形だが、ラ変型のものには連体形に付くので注意。 もし、下の「なり」が伝聞・推定の助動詞「なり」であれば 接続が終止形 なるはずだが、 下二段活用をする謙譲の 「給ふ」 には右のポイントを見てわかる P OINT の連体形、 助動詞「なり」の識別 1

5「給へ/る」は、 「給 1と 3は、下の助動詞「なり」との接続が問題

空欄には下二段

2「給ひ/し」は、 「

と判断できる。

4の「給へば」の「給

55

その組み合 り、正解は3の ちなみに下二段活 謙譲の「給ふ」 (ハ行 「たまへ/たまへ/〇/たまふる 1 会話文にしか出てこない。 上にくる語が「知り」 「思ひ(う) 謙譲語だが、訳は ~ます」と丁寧語の 終止形と命令形がない。 正解の「給ふる」も「会話文中」で、上に「思ひ」が ふる/なり」となり、口語訳は「思っております」 。 問五 一般的に「係り結び」というのは、係助詞「ぞ・なむ・や・か・こ 已然形になることをいう。 ころが、係り結びにはもうひとつの形がある P OINT 2 3 4

解答

56

第4講  『今昔物語集』

副詞による 文中に係助詞「や 「いかで」 「いかが」 「 などがあると文末は連体形に いかで 問六 ここでの「ことのことわり」=「事の道理」というのは、宇多院が川原 ことを指している。その理由とは、 直前にあるように 「大臣の子孫の得させた そ→住め(已然形) 」は係り結びなので、 「住め」を命令形ととらないように注 ︸ ︷ P OINT 文末 いかが な どな どて ふつうの「係り結び」は そして問題 副詞による係り結び」として、9~ 1疑問 いかに ~ 連体形 2反語 10行目に「やは→たる」 、 か所となっ 、正解は3。

11行目に「こそ→住め」と二つある。 10行目に「いかが→べき」がある。これで合計三

解答

57

うえで、 問七 ふつう幽霊が出てきたら恐れをなすはずだが、宇多の院は怖がるど しているのだから、正解は5の「物に恐れぬ豪胆な人物」と判断できる。 は読み取れ が、 「冷静な」というよりも「豪胆な」と取るべきで×。ほかの たく読み取れない人物像で×。 直訳 意訳してまとめると、 「大

20字以内にま

解答

配点

①「大臣の子孫が献上した」 ………… ②「住んでいること」 ………………………………… 大臣の子孫が献上したため住んでい ※ 「献上した」 の部分を 「得させた」 などとした ※文末を「こと」としなかったもの………

…… … … ………………4点

………

20字)

………

……1点減。

解答

…… 2点

…2点

20字)

58

第4講  『今昔物語集』

問八 ひっかけ 同時にその息子 問九  『大和物語』だけが平安時代に成 ×だ。正解は、  「院」 とはふつう 「 た上皇のことを指す。

鎌倉時代に成立した世俗説話だ。

3の『 日 にほ んりょう いき 本霊異記

2醍醐【天皇】のころ

』は平安時代に成立した仏教説話。

1の『 古 ここんちょもんじゅう 今著聞集

』と

1は宇多【天皇】

2の『 宇 うじしゅういものがたり 治拾遺物語

解答

解答

』は

59

 『今昔物語集 材として使用した話 文学史対策としては 鎌倉時代は「説話文学」花盛りの時代 成立したこれらの作品をしっかり覚えておき 出 典 解 説

『日本霊異記』

魂は

『三宝絵詞』

『今昔物語集』

を 物語 る… コ 『古本説話集』 ホ ン

羅 らしょうもん 生門 』 『鼻』 『

芋 いもがゆ 粥 』などの題

60

 『

第4講  『今昔物語集』

第4講

問九

問八

問七

問六

問五

問四

問三

問二

問一

い 与ふ(与える) ア

大 臣 の 子 孫 が 献 上 し た

た め 住 ん で い る こ と 。

a 4 b 1 c 1 d 3

ぎょうこう (ぎょうごう)

4

2

5

3

3

4

4

4

ろ あり(ある) イ

ぬりごめ

各3

来(来る)

6

各2

各2

36 点

61

さて院の住ませ給ひける時に、夜半ばかり に、西の対の塗籠を開けて、人のそよめきて 参る気色のありければ、院見遣らせ給ひける に、日の装束うるはしくしたる人の、太刀帯 きて笏取り、畏まりて二間ばかり去きて居た りけるを、院「彼は何人ぞ」と問

今は昔、川原の院 み給ひける家なり。陸 りて、潮の水を汲み入れて り。様々にめでたくをかしきこ りて住み給ひけるを、その大臣失せ その子孫にてありけ 人の、宇多の院に たりけるなり。然れば宇多の院 その川原の 院に住ませ給ひける時に、醍醐の天皇は御子 におはしませば、度々、行幸ありてめでたか りけり。

第4講『今昔

たところ、 「この家の主の翁でございます」と申し上げるので、 院が「融の大臣か」とお尋ねになったところ、 「さようでござ

今はもう昔のこと てお住まいになった家で て 造って、海水を汲み入れて、 らしく、趣の限りをつくして住み なった後は、 その子孫にあたる人が、 た。そこで、 宇多院がその川原の院にお住 醍醐天皇は院の御子でいらっしゃるので、たび があり、この上なくめでたいことであった。 さて、院がお住まいになっていたときに、ある夜半ほ 西の対屋の塗籠の戸を開けて、誰かがそよそよと衣ずれの音 させてやってくる気配がしたので、院がそちらに目をおやりに なると、朝廷での昼の正装(=束帯姿)を端然とした人が、太 刀を腰に帯びて笏を手に持って、かしこまって二間ほど離れた 所にいたが、 そこで院が「そこにいるのは誰か」 とお尋ねになっ

庭は 陸奥の国の塩竃の形を

まね

62

れば、 「此 れば、 院「融の 「然に候ふ」と申す 問はせ給へば、 「家に くおはしませば、かたじけ ひ給ふるなり。いかが仕るべき 院「それはいと異様のことなり。わ 家をやは押取りて居たる。大臣の子孫の せたればこそ住め。者の霊なりといへども、 ことのことわりをも知らず、いかでかくはい ふぞ」 高やかに仰せ給ひければ、霊かき消 つ様に失せにけり。その後また現 るること なかりけり。

います」と ると 融の大臣の霊が 院が このようにいらっし ております。 かがいた げるので、院は「それはまこ 家を押し取ったものではないぞ。 事の道理を知らずに、どうしてそのような 大声で一喝なさったところ 霊 かき消 よう た。その後は二度と現れ とはなかった。 上したからこそ住んでいるのだ。

「わが家ですか

おまえ 融の大臣の

(=大臣)の子孫が献

霊とは言えども、

63

5 講 『

学習テーマ

 『 無 むみょうぞうし 名草子

きや、入試では頻出する作品だ 二通りの説を紹介している。 設問的には、理由を問うものが多く出 を確実に押さえつつ、正解していってほしい るかどうかを問うものだけに、現代文の力も問わ いので、高得点 目指そう。 問一 まず傍線部①を口語訳してみよう。 いづら/は/末/の/世/に/そ/の/音/の/残り/て/や/は/ =(その中の)どれが後世にその音が残っている でしょうか(いや、残 ここでは、

「やは」 が反語

』は鎌倉時代前期に成立し

であることがポイントで、 要するに 「音楽はどれほどすぐれたものであっても、

合格点は

39点だ!

藤 ふじわら 原 俊 としなりの 成 女 むすめ 。マイナーな作品と思い

問題編 22 ページ

64

第5講  『無名草子』

後世には残 としては、まず 後世の人が見聞くこ 保存性があることと対 問二 まず、傍線部②の「いみじくあはれなるものはあれ」というのは、 感動する」という内容であることを押さえる。文末の「あれ」は係助詞「 命令形と取らないこと。 次に、傍線部②の直前が「て」という接続助詞になっているところから、理由 P OINT 「係り結び」の法則 係助詞

こ そ

や ・ か

ぞ ・ な む 強意1疑問

2反語 ︸ ︷

意味

強意

文末

已然形

連体形

※「やは」 「かは」の形の場合は、

否定を表すことに注意。

2。

90%以上反語。反語は内容的に

解答

65

れていると この形はシンプ B ここでは、傍線部の直前に「ただ今その主 な原因になっている。つまり、歌や詩に感動する というのが正解で、選択肢では 問一で見たように、音楽との対比で「 は文字 提条件なの 、そうした点を押さえている意味でも と詩の永続性 ・保存性について書かれているが、肝心の「作者と また、 さし向ひたる心地して」 というと ろを膨らませて、 勝手な想像をして選 文に書かれてい こと」を根拠に正解を選んでほしい。 P OINT 「AてB」の形 A て

4は方向的には間違ってはいないものの、本文中に根拠がないものなの

相互ヒ ントの 関係

1がこれをうまく説明している。

(A

「AてB」

= 原因、B

1は正解といえる。ほかの選択肢では、

= 結果、である場合が多い)

※主語判定の基本パターン はP

43参照。

解答

2と 3は歌

にある。

66

第5講  『無名草子』

P OINT

問三 空欄の直 するものだ」と という部分が空欄の 空欄をはさんで、原因 る。現代語で考えると、順 「されば」=「それだから」が の已然形+接続助詞「ば」で出来た 「已然形+ば」が因果関係を表す  「已然形+ば」が「~ので」と順接確定条件に ヒント関係になっている。傍線部が原因か結果に引か 部分を読んで、解答の根拠にしよう。 「そうしてこそ」であり、どれも順接の因果関係を表すものではないので空欄 A原因 1「さりながら」は「そうではあるが」 、

相互ヒント関係

已然形+ば

~B結果

2「さりとて」は「そうかといって」 、

なので、空欄には順接

3「さてこそ」は

解答

4

67

問四 問三で見 の世」には、 「 れている文脈ではな 語で「仏法が末になっ の時代に入るとされた。 残った の意味なので、4の「後世にまで伝 問五  「繰言のやうには侍れど」以下は、紫式部 ることを押さえよう。それをふまえて問八 、 「 傍線部④では、 を慰めるような物語はありますか」とお尋ねになった箇所で ほかの選択肢には、 「退屈」というニュアンス ものがない。 その後、上東門院と紫式部 の会話が続く。 「何をか参らすべき」と上東門院 訳すと 問六 人物関係を正確に押さえよう。 院が紫式部を召した」と順を追って考える

「手持ち無沙汰で退屈なさま」

「とどまる」を「耳

3と4では、

「つれづれ」

の解釈がポイント。 「つれづれ (なり) 」 は兼好法

まず「大斎院が上東門院に対して」お尋ねになり、次 「上東門

となる。ここでは、大斎院が上東門院に対して「退屈な

。正解は2の「上東門院」 。

3が×。 「とどまる」は「あとに

1と 2が×。 「末法」とは

解答

解答

68

第5講  『無名草子』

に対して「 「新しい物語を 問七  『源氏物語』の成立 別のエピソードとして、 というものも言い伝えられてお が指している内容は、その二つの説  「矛盾するもの」を選ぶ問題なので、 とあるが、 づれか」と問う内容と矛盾しているので、これが 2以下の選択肢は「 づれか」の内容に矛盾して 1 すでに上東門院のもとに出仕していた紫式部が、上東門院 説 2  『源氏物語』を書いたことで評判が立ち、そのため出仕でき、 と名づけられた。 説

紫式部に物語の執筆を促したのは「上東門院

11行目から書かれている「い

。先ほど考えた「い

解答

解答

69

問八 ここまで 時代に成立した 問九 直前に「いと思はずにほけづき、かたほにて、一文字をだに引かぬ ろから、紫式部は同僚の女房たちから、かなりぼんやりした未熟な人だ れは紫式部が実際に出仕してからのまわりの女房たちの判断であり、設問では どのような人物と想像されていたのか」が問われているので、 と 『土佐日記』 日記文学最初の作品である 和歌集』の撰者としても有名。ま 子道綱との生活を日記に赤裸々に書き綴って 様に中宮彰子に仕えた女房の一人であり、歌人と 『紫式部日記』は、 『源氏物語』を書いた紫式部の の子孫で、大変な文学少女だった。 『源氏物語』を手に

岐 ぬき 典 の す け 侍 日記』

『 蜻 かげろう 蛉 日記』

か 『蜻蛉日記』 げ の 入 『和泉式部日記』 れ

は平安後期の日記で、作者は藤原

の作者、

藤 ふじわらみちつなのはは 原道綱母

『土佐日記』

は夫藤原

『紫式部日記』

『更級日記』 兼 かねいえ 家 の浮気に苦しみ、そうした夫婦の愛憎関 は紀貫之の手になるもので、彼

長 ちょうし 子 。

『 和 い ず み し き ぶ 泉式部

『 更 さらしな 級 日記』

、 ぬ

『讃岐典侍日記』

日記』

解答の根拠は、

の作者、

の作者、和泉式部は、紫式部と同

き ぬき

菅 すがわらたかすえのむすめ 原孝標女

敦 あつみち 道 親王との恋愛日記。

13行目の「参りけるはじ

は、菅原道真

解答

『 讃

70

第5講  『無名草子』

めばかり ず/らむ」の  「恥かしう(形 くらい相手が「立派だ にくし」の連用形で、ど 恥づかし 紫式部は、こちらが恥ずかしくなるくらい「 らむ」=「一緒にいた 気詰まりだろう」と想像 う」と訳す。打消の意味はないので注意) 。選択肢で ちなみに「気がおける」というのは、 「気をつかわなけ に気をつけよう。 「気がおけない人」というのは、 「気をつか

所 の 憎し み、なぜか

いくらい

であることを

立派 ね はづかし=(こちらが気恥ずかしくな

奥ゆかしい

こころにくし=奥ゆかしい

解答

71

 『 無 むみょうぞうし 名草子 『 無 むみょうしょう 名抄 』 、そしてこの『無名草子』が有名。また、藤原 こ 来 らい 風 ふう 体 てい 抄 しょう 』において論じられた「 原定家は『新古今和歌集』を撰ぶとともに、 『 出 典 解 説 83歳の尼と見立てて、 鏡』のスタイルを意識 言や紫式部などの人物批評 俊 藤原俊成女 成の娘 入試に出る「歌論」や「物語論」では、紀 『 古

らに深化させた「

は 無 『無名草子』 名

』は鎌倉時代前

有 うしんたい 心体 」を和歌の最高の体としている。

幽 ゆうげん 玄 」という和歌の理念も大切。さらに、その息子であ

近 きんだい 代 秀 しゅうか 歌 』 『 毎 まいげつしょう 月抄 』を書き、その中で「幽玄」をさ

藤 ふじわらのとしなりのむす 原俊成女

。作者は自分自

鴨 かものちょうめい 長明 の歌論

72

第5講  『無名草子』

第5講

問九

問八

問七

問六

問五

問四

問三

問二

問一

3

1

1

2

4

4

4

1

2

6

5

6

6

5

6

39 点

73

繰言のやうには侍れど、つ もせず羨まし くめでたく侍るは、 大斎院より上東門院、 『つ れづれ慰みぬべき物語やさぶらふ』と尋ね参

 「されど、さやう 限りにて、亡き跡まで 人見聞き伝ふることなきこ 男も女も、管弦の方などは、そ すぐれたる例多かれど、いづらは末 の音の残りてやは侍る。 歌をも詠み詩をも作りて、名をも書き置き たるこそ、百年千年 経て見れども、ただ今 その主にさし向ひたる心地して、いみじくあ はれなるものはあれ。

さればただ一言葉にても、末の世にとどま るばかりのふしを書きとどむべき、とはおぼ ゆる。

第5講『無名

 「そうだけど、そ

間だけのことで、亡き後 ることがないのは残念です。 そのときにおいて優れているとい のどれが後世 その音が残っているで き置いたものは、百年千年を経て見るけれども、現 に面と向かっている感じがして、 たいそう感銘の深いも それだから、たったひとつの言葉でもよいから、後世にま 伝わるようなものを書き残したいと思われるのです。 愚痴のようではございますが、尽きることもなく、うらやま しくすばらしく思われますのは、大斎院から上東門院に 『退 屈が慰められるような物語はあり すか』と、お尋ね申し上げ なされたときに、 を差し上げたらよいかしら』と仰せになっ ところ、 ないでしょう。 歌を詠んだり、詩を作ったりして、

上東門院は

『何

音楽の誉れは

紫式部をお呼び出しになって、

その作者として

、自分が生きている

いや残ってい

紫式部が

名前を書

74

らせ給へり か参らすべき』 しきものは、何か侍 らせ給へかし』と申し せられけるを承りて、 『源 るこそ、いみじくめでたく侍れ れば、また  「いまだ宮仕へもせで里に侍りける折 かるもの作り出でたりけるによりて 召し出 でられて、それゆゑ紫式部といふ名は付けた り、とも申すは、 いづれかまことにて侍らむ。

その人の日記といふもの侍りしにも、 『参 りけるはじめばかり、 恥かしうも心にくくも、 また添ひ苦しうもあらむずらむと おのおの 思へりけるほどに、いと思はずにほけづき、 かたほにて、一文字をだに引 ぬさまな け れば、かく思はず、と友達ども思はる』など こそ見えて侍れ」など言へば………

『珍しい作 しく作って差し 院が 『それでは、お前が らしいことです」という人が 受けして きに、 このような物語 (= 『 どちらが本当なのでしょうか。 その人の日記というものがございましたのにも、 『 くもあり、また一緒にいたら気詰まりでもあろうと、周囲の 房たちが ちなんで に 参りました初めのころ、  「 紫式部が て、 上東門院のもとに

て、未熟であって 「一」という文字さえも書き切らないよう な様子だっ ので、こうだとは思わなかったと、友人たちに思 われた』などと見えております」などと言うと、

紫式部が 紫式部という名前は付けたのだ」とも申します

思っていたころに、

まだ宮仕えもしないで、自分の家

『源氏物語』を作ったと

召し出され、そのために

源氏物語

私のことを

実際の私は

』 ) を作り出したことによっ

気が置けもし、奥ゆかし

何もござい

意外にぼんやりしてい

『源氏物語』に

・・・・・・

上東門院

上東門

。新

75

6 講 『

学習テーマ

 『枕草子』の読解に 定子を中心とした人物関係 係にある中宮彰子の側も同時に 長との権力争いで負けてしまい、没落する運 しかし『枕草子』にはそうした影の部分は全く記 い。あくまで道隆関白の栄光と、中宮定子と一条天 ばらしさ、そして中宮定子 兄弟たちについての光の部 だけが語られる。また、清少納言の人間観察や自然に対す る独自の批評が「ものはづくし(~も ・~は) 」という 形で書かれる。 入試頻出の出典なので っかりとマスターしよ 。

点は

清少納言は「

31点だ!

道 みちたか 隆 ― 中宮 定 て い し 子 」側に属する

ので、結局道

合格

問題編 28 ページ

76

第6講  『枕草子』

 「夕されば」 「夕さる」は「 択肢は、ア・ウ・オの三つに絞られる。 次に「とく」の後に省略された内容を考え ほしうなりぬらむ。さは、はや」のところがポイ て、意味は「降りる」 、つまり中宮定子のところか 「それなら早く下がりなさい」ということ 言に「 (自分の局に)下がりたいなら、早く下がりなさい」と言っている文脈 なっている「夕さりはとく」というセリフを続けているところから考えると、 になる」の意味だ。ここでも  「さは、 はや」というのは、

U F O 去れば 徳 光 早く ! とく=1早く・さっそく 夕方になる

問一  「夕さり

局(つぼね)=女房の控え室 ※「 」は漢字の読みの問題でも頻出する。

「夕さり」というのは「夕方になる

、 U F O 去る と 夕方になる

ゆふされば・ゆふさ

ことを意味している。したがって選

「いったん下がってもい

77

P OINT

「なむ (ん) 」の識別

いから、夕 オの二択に絞れる。次に「 ここでの「なむ」は「おり」 るる/おるれ/おりよ と活用し、 1 連用形+ 「なむ (ん) 」 =完了の助動詞 「ぬ 2 未然形+ 「なむ (ん) 」=他への願望の終助詞「 3 その他+ 「なむ (ん) 」 A 係助詞「なむ (ん) 」 B 動詞の一部+推量の助動詞「む (ん) 」の終止形・連体形 1の場合、 「な」は完了の意がなくなり、 強意になって下の「む ( 問二

の訳は、 「む (ん) 」の意味によっていろいろ変化する。 2 終助詞は他への願望なので、 「~してほしい」と訳す。

⒝の「いかでおりな

という流れ

「おり」が「部屋に下

とわかっていれば、イ

解答

78

第6講  『枕草子』

3のAは係 ある。特に次の形 うつくしくなむ 花咲かずなむ。→打 3のBはナ変動詞に「む」 ⒞「おぼつかなさ/に/なむ」は、まず「おぼつかなし」のゴロから お ー ボツ悲し 形容詞「おぼつかなし」は、対象が っきりせず、つかみ所がない感じを表す ここは 納言が中宮定子のところに初出仕した場 うつつましきこと」=「はずかしく遠慮する ている様子が描かれている。そこへ「殿、参らせ でわかる)が現れたのだから、清少納言としては、 自然だ。正解はオ。つまり「おり」は連用形であること ここでの「なむ」は「な」+「む」に分解できるものだが 副詞の「いかで」と呼応して「何とかして~しよう」

1か 2のパターンだが、接続関係からは判

い 気掛かりだ

おぼつかなし=気掛かりだ

― く (う) 」+「なむ

「何とかして部屋へ下がってしまおう」

となっている。

と思うのが

79

「おぼつか かだが、ここは 大納言殿が突然妹 どく降ったので、 『お しいので×。 の「気がかりなものですから」 文末の「なむ」は、前記ポイント 「気がかりなものですから 問三 主語判定の問題。人物関係をつかんだうえで、読 では、⑴から順に見ていこう。⑴は「局 主」が、清 る会話の中にある。 「御前許されたるは、さおぼしめすやう 前のこと。清少納言が中宮定子の御前に仕えることを許されてい になる」わけがあるのですよ、 中宮定子であり、正解はエの「宮」 。 ちなみに、⑴は「局の主」の会話の中で「おぼ めす」という尊敬語が使わ は、 「おぼす」よりも一段高い敬意を表す尊敬語

妹のことが「気がかり」だ

伊 これちか 周 のセリフである

(訪ねました)

と言って清少納言をせかしている。したがって「おぼしめす」の主語

」の (

) の中の内容が省略されている。

であることは押さえておこう。

「 (中宮定子様が)そうお思い

解答

。したがって、正解はオ

⒝=オ

「おぼしめす」

⒞=オ

80

第6講  『枕草子』

P OINT

敬意の高い ※地の文で敬意の高い尊敬語が使われている場合、 主 文においては相手の身分がそれほど高くない場合でも、敬 ⑵は敬語が何もなく、地の文中で自分の動作を描写している箇 いので」ということで、正解はカの「作者」 。 ⑶は誰のセリフなのかを間違えないこと。ここは中宮定子と兄の大納言 所だが、 傍線部⑶を含む言葉は兄の大納言殿の発したもの いらっしゃったの?」と聞いたのに対して、 「 『あはれ』ともご覧になるかと思 尊敬語 たまふ のた まふ おは す 御覧 ず おぼ す おも ほす 知ら す

< 敬意の高い尊敬語

< 知 らしめ す

< お もほし めす

< お ぼしめ す

< 御 覧ぜさ す

< お はしま す

< の たまは す

< たまは す

口語訳 お与えになる・くださる

おっしゃる 知っていらっしゃる・お治めになる いらっしゃる ご覧になる お思いになる お思いになる

「どうしてこんな雪の日に

。妹の中宮定子が、

81

ころだ。し ⑷と⑸はペア はその大納言殿に返 たちの大納言殿への対 問四 品詞分解の問題。正確に判断して 「おり/な/まほしう/なり/ぬ/らむ」 「おり」    =動詞。ラ行上二段動詞「降る」 「な」    =助動詞。完了の助動詞「ぬ」の未 「まほしう」=助動詞。希望の助動詞「まほし」の連用 「なり」    =動詞。ラ行四段動詞「成る」の連用形。 「ぬ」    =助動詞。完了の助動詞「ぬ」の終止形。 「らむ」  =助動詞。現在推量 らむ」の終止形。 動詞は2個、 形容詞は0個、 助動詞は4個、 助詞は0個となる。 「まほしう を助動詞としたりしないように。特に「なり」は、助動詞というイメージが強い

「御覧ずる

解答

⑴=エ

ということ

⑵=カ

⑶=エ

⑷=ウ

⑸=オ

82

第6講  『枕草子』

字で書けば 20のポイントを必 問五 あの「ゐ」は、 下に打消 「ゐる」には「率る」と「居る るところから、 「居る」のほうだ。 「居」か「率」かの判断は大切だ。 い 映え」 は、 まず 下二段活用動詞(下一段活用動詞は「蹴る」しか 行とヤ行の両方にあるので、 終止形に戻して考えて ここで大切なポイントがある。 下二段動詞でア行のものは「得 (う) と「心得 (こころ ) 」 これを知っておくと、 動詞でア行なのかヤ行なのか迷う必要がな 「得(心得) 」は「語幹と語尾の区別のない下二段動詞」という意味でも非常に ただし、 以外は、すべてヤ行

「映え」の終止形はヤ行の「映ゆ」 。ち

下に接続助詞 「て」 があるので連用形

と判断すればいいのだ。したがって、

が、ここは「人もゐず」=「誰

解答

とわかる。次に連用形でエ段になるところか

A=イ

B=カ

ア行である「得」 「心得」

83

P OINT

た語はいく 語幹と語尾の区 「寝 (ぬ) 」のように語 ア ※それぞれ漢字で書くと 「寝/寝/寝/ /得/得/得る/得れ/得よ」となるので、 う「赤む」はちょっと迷う。文法の知識がある人 かるが(その二つ 数が限られていて、全部覚えている それとも四段活用なのかの判断は難しい。下に「ず」を付け も悪くないが、実はこの ポイント。 「赤む」という形が連体形であるためには四段活用でなけ 下二段活用であれば、 連体形は「赤むる」となるからだ。したがって、 「 寝(ぬ ) ね/ね/ぬ/ぬる/ぬれ/ ) へ/へ ふ ふる/ふれ/へよ 経(ふ 得(う ) え/え う うる/うれ/えよ

解答

あ 1=カ

3=ア

2=イ

「赤む」は係助詞「ぞ」の結びになっているので連体形

い 1=エ

3=イ

2=オ

う 1=ウ

3=エ

2=ア

である、ということが

(各完答)

84

第6講  『枕草子』

P OINT

問六 「奉る」 尊敬語…動詞のみ a「着る」の尊敬語で「お召しにな b「乗る」の尊敬語で「お乗りになる」 c「飲む」の尊敬語で「召し上がる」 。 ここでは「白き御衣どもに紅の唐綾をぞ『奉りた (=綾織物) 」とあるところからわかるように、 「奉る 次に、 「たる」は助動詞「たり」の連体形であり、普通「 「存続」の意味もあり、ここでは「~ている」と存続で訳すのが 訳も採点対象になるの 、正確に訳出する訓練を積んでおこう。 ②「~ている」 敬語の中 1 謙譲語 a 動詞 b 補助 = 2

配点

①「お召しになる」……4点

= ①差し上げる・献上する

~し申し上げる

…… 2点

②参上させる

解答

お召しになっている

85

問七 挿入句の 挿入句とは、話の流 この文章は、全体が事実 が感想を差し挟んでいる箇所が うものの見たかったの あ ようだ 道隆関白がいらっしゃったと知り、 あ き 御 み 几 きちょう 帳 の隙間から様子を覗き見したことに対して、

という箇所。

10行目の

「さすがにゆかしきなるめり」

言い訳めいたことを挿入している箇所

解答

さす~めり

だ。

86

第6講  『枕草子』

 『枕草子』は 『 方 ほう 丈 じょうき 記 』 (鴨長明作) 、3  『枕草子』は平安時 の文学と呼ばれるのに対し 約三百の段からなる文章は、  「 類 るいじゅう 聚 的章段」…別名「ものはづくし」 「 ている章段のことで、内容的には清少納 約半数を占める。 2  「日記的(回想的)章段」…清少納言の出仕し 中宮定子の夫である一条天皇をはじめ、当時の貴族 りにくい点で、受験生泣かせと言える。 3  「随想的章段」… 容のものが多い。 出 典 解 説 1

1にも

2にも属さないスケッチ風の章段で、特に自然を題材とする随

、 1『枕草子』 (

87

 『

第6講

問七

問六

問五

問四

問三

問二

問一

あ 1 カ 2 イ 3 ア い 1 エ 2 オ 3 イ う 1 ウ 2 ア 3 エ

⑴ エ ⑵ カ ⑶ エ ⑷ ウ ⑸ オ

⒝ オ ⒞ オ

A

お召しになっている

す ~ め

5

B

C

4

D

5

完答4

6

2

各完答

31 点

4

88

宮に初めて参りた うつつましきこと数知 れば、夜々参りて、三尺の さぶらふ。久しうなりぬれば、 しうなりぬらむ。さは、はや」とて りはとく」と仰せらる。ゐざりおるるや と、格子上げ散らしたるに、雪降 けり。 昼つかた、 「参れ。雪にくもりて、あらは にもあるまじ」など、たびたび召せば、この 局の主も、 「さのみやは龍りゐ給へらむとす る。いとあへなきまで御前許 れたるは、 おぼしめすやうこそはあらめ。思ふにたがふ は、にくきものぞ」など、ただいそがし出だ せば、われにもあらぬ心地すれど参るも、い とぞ苦しき。御前近くは、例の炭櫃に火こち たくおこして、それには人もゐず。

第6講『枕草

しゃる。 などと、ひどくせきたてて出仕させるので、無我夢中で訳がわ から い気持ちがするけれど 、 方なく参上するのが、とて

中宮定子の御殿に でも 丸見えではあるまい」などと、 たびたびお召しになるので、 この局の 主人の女房も、 るおつもりですか。あっけないくらいひどく、 遠慮することが数え切れ そうなので、毎晩参上して三 長い時間が経ってしまったので、 なってしまった だろう。それなら早 げたところ、雪が降ってい の 。 その日のお昼ごろ、 「参上せよ。雪で曇っているから 私が 膝ずりして局へ下がるやいなや、格子をさっと

しゃって、続けて お仕えすることが許されているのは、そうお思 になるわけが あるのでしょう。

人の 好意に背くのはかわいげないことですよ」

「夕方になったら早く参上しなさい」とお

初めて出仕したころ

「そうばかり引きこもっていらっしゃ

中宮様が

「局に下がりたく

中宮様の

御前に

昼間

おっ

89

しばしあ 参らせ給ふなり りやりなどするに、 さらにみじろがれねば 入りて、さすがにゆかしき のほころびよりはつかに見出で 大納言殿の参り給へるなりけり。 指貫の色、雪に映えてをかし。柱のもと 給ひて、 「昨日今日、物忌に侍れ 、雪のい たく降り侍れば、おぼつかなさになむ」と申 し給ふ。 「道もなしと思ひ るに、いかで」 とぞ御いらへある。うち笑ひ給ひ 「あは れともや、御覧ずるとて」などのたまふ御有 様ども、これよりは何事かはまさらむ、物語 にいみじう口にまかせて言 たることども も劣らざんめるを、とおぼゆ。

宮は、白き御衣どもに紅の唐綾をぞ奉りた る。御髪のかからせ給へるなど、絵にかきた

もつらい気 に火をたくさん しばらくしてから 白(=藤原道隆)様が、 は なんとかして部屋へ下がってしま 動きもできない状態なので、 少し奥へ やはり見たい気持ちがするのだろうか、御 からちょっとのぞ 込んだ。 実は関白様ではなく さったのだった。御直衣や指貫の紫色が、雪に照り映え 深い。 とは、物忌みでございましたが、雪がひどく降りましたので、 どうしていらっしゃるか気掛かりなものですから」と申し上げ なさる。 「 『道もなし』と思っておりましたのに、どうして おいでくださいましたのか

たちが さるかと思 まして」などとおっ るご様子などは、これに

殿は お笑いになって、 「

散らかっているものなどを取

大納言殿は

柱のところにお座りになって、 「昨日と今日

中宮様の

兄上の大納言(=

私のことを

参上なさるようです」と

」と 中宮様が

お側近くに

『あはれ』とでもご覧くだ

藤原伊周

お答えになる。

)殿が参上な

大納言

「関

女房

まあ

90

るこそかか 知らぬを、夢の 女房ともの言ひた いらへいささか恥づか え返し、そら言などのたま がひ返しなど聞こゆるは、目も ましきまであいなく面ぞ赤むや。御 などして、御前にも参らせ給ふ。

勝る何事が 書いてあるたく る。 なってい 。 それに御髪がか 絵に描い あるものではこのよう はまだ見たこともないので、夢のよ で、お答えしたり、でたらめなことを言いかけなさるの て、 自分のご意見を 驚きあきれるほどひどく顔が赤くなってしまうことだ。 殿は 果物を召し上がりなどして、 中宮様は る。 大納言殿が が、そのご返事を、

、白い御召し物の上に紅 女房と話をしたり、冗談をおっしゃったりなさ

女房たちが 言い張り申し上げるのは、目もくらんで、

少しも恥ずかしいとも思わない

中宮様にも

すばらしい

差し上げなさる。

気持ちがす

大納言

91

学習テーマ ここは道綱母の女親(=母親)が亡くなり、道綱母もショックのあ そこで道綱母は、 「幼き子(=道綱) 」を引き寄せて、 「かしこ」に伝え の内容は 「私のことはどうなってもかまわないけれど、 私の母の葬式は盛大に 道綱母が死後のことを頼める相手は夫の兼家しかいないので、 「かしこ」 は兼家 第 7 講 『 原道長の父でもある らめ、そして葛藤が描かれ、一方、  『蜻蛉日記』は難易度が高い文章で の出典といえる。ここはできれば田辺聖子さ 『蜻蛉日記』の内容を大筋理解しておいてほしい 問一  『蜻蛉日記』の人物関係を知っていると、俄然有利に は、夫の兼家、一人息子の道綱、そして筆者の藤原道綱母。 照してほしい。

 『 蜻 かげろう 蛉 日記』は

ここでは「幼き子」が道綱、 「ものを語らひおきなどすべき人」

藤 ふじわらみちつなのはは 原道綱母

。 『蜻蛉日記』の内容としては

によって書かれた。この

合格点は

藤原道綱母の夫は藤原

30点だ!

兼 かねいえ 家 で、藤原

に当たる。

道 みちたか 隆 、藤

問題編 34 ページ

92

第7講  『蜻蛉日記』

のを語らひ 問二  「生きたるまじき の過ぎぬる人」以下、 「生きたるまじきここちするは =「生きているような気がしないの 道綱の母が思い出している中心人物の「過 この世にいない、死んで まった人」 娘(=道綱の母)の頼りない生活ぶりを嘆いて、 「 たはこれからどうなさることだろう」とひたすら心配し ような気がしないということなので、正解は選択肢4の「母 したから」 。 問三 ㋒は、問二でも見たように4の「母」 。 「過ぎぬ 」というのは、 「亡 後に「わづらひつる日ごろ」とある がヒント。また、娘であ 道綱母 こと 残した、という内容も読み取ろう。

≒ 「道綱の女親(=母親) 」と判断できる。

解答

ものを語ら

それを思い出すと道綱母は生きている

その母親は死ぬ前に、

解答

93

「 ものす

㋔と㋖と には相当な力が 話の流れとしては わたし(=道綱母)は そこで侍女が兼家を出迎え 穢れ(=道綱母の病気)も気に 5 兼家は玄関に立ったまま見舞いをし となっており、全体の流れから、㋔の「人」 ㋚は後半の人物関係をつかんだ上で解答する。 兄が、亡くなった母にもう一度会いたいという和歌 にあり、死んだ母のことを指しているので、正解は4。 問四  「ものす」は代動詞で、いろいろな動詞の代わりをする。ゴロでま 1 夫の兼家が事情を 2 3 4

ごい イル カが 来る ので 食べ てから

― ―― 傍線部㋔の「人」=「 ――― 傍線部㋖の「人」=「侍女」 。

行く 」と 手紙を書く

解答

㋒=4

㋔=2

1 手紙を書く 居る 3 食べる

来る

2 4 行く

㋖=6

㋚=4

94

第7講  『蜻蛉日記』

さて、 ㋓ は4「言う」の ㋕ 、問三のとこ 「人聞きつけても し ㋗は、 侍女が夫の兼家を 「道綱母様は、これこれの様子 の意で用いられている。 問五 ㋘「みなしはてつ」は、正確に品詞分解で 終わる つ =完了「つ」の終止形=た =全部し終わった。 全部し終わったのは「なに」なのかを訳してはじめて満点になる。直前に「か 「みな/し/はて/つ」 みな=皆 し =サ変「す」の連用形=する はて=ハ下二「果つ

6「来る」の意で用いら

解答

㋓=4

㋕=6

㋗=1

95

ことなど、 ことを言ってい ㋙の「たがもとへ 「た/が/もと/へ/か/ た/が =誰の =所へ か/は(反語)=~だろうか、いや~ =出掛けよう と/す/ら =としているのだろう =誰の所へ出掛けようとしているのだろうか 直訳としてはこれでOKだが、ここは直後の「いで、なほ はりこのままこの山寺で死のうと思うけれども」との関係で、 さきほど 直訳を、あとに続けてみると、 「誰の所へ出掛けようと にも出掛けず、やはりこのままこの山寺で死のうと思うけれども」となる というのだろうか いや、 身を寄せようもない」 が正解。ただし、 反語とわか たい誰の所へ身を寄せよう いるのだろうか」としてもOKだ。 もと/へ 出で/む

「母の葬儀を全

意訳しないと意味が通じない

96

第7講  『蜻蛉日記』

P OINT

ここで、 「やは・かは」 「か

○係助詞の 「や」 文末は連体形になる。 【 ○「や」 「か」が「疑問」か「反語」かは文脈判断による んど反語になる(まれに疑問の場合もあるので注意!) 。 【例文】 1  「我人に劣らむ」と思いたる =「自分が人に劣っている」と思っていらっしゃ があろ 例文】 1(疑問) =どの山が天に近いの =近所の火事などで逃げる人は、 「ちょっとまて 2(反語)

2 =寿命は人を待つ

命は人を待つもの

いづれの山 近き火などに逃ぐる人は、しばしと

「反語」

だろうか、いや待ってくれはしない

かは 。

か 。

か 天に近き。

やは ある。

や いふ。

だろうか、いや言いはしない

うか、いやあろうはずかない

97

これらの例 であり、自力で口 ○しかし、センター古文 ものが多い。 【例文】 =「自分が人に劣っている」と思っていら これらの訳を見て分かるように、正解の選択肢とし 以下が省略された形ではあるが、 1  「我人に劣らむ」と 2 =寿命は人を待つ

命は人を待つもの

はずがあろうか

かは 。

思 おぼ したる

やは ある。

。 文脈的に反語とわかる訳である

反語の基本的

配点

①  「母の葬儀を」…3点  「全部」…1点

③「し終わった」…2点

いったいどこにいるだろうか

解答

ことが多いのだ。 ㋘ 母の葬儀を全部し終わった。

※「母の」がないもの1点減

98

第7講  『蜻蛉日記』

 「死な

配点 問六 傍線部①の れ」は下に打消 る」は下に打消を伴って「可能」に 傍線部②の「べし」は、侍女たちが「 兼家が家に入る を阻止している場面。とな ①「誰の所へ」… ③「だろうかいや、

ても不都合なはずだ」くらいの訳が当たる 傍線部③の「む は、次のパターン通り。 「と」の前の「む」は意志!

傍線部④の「なり」は、 に「推定」がなく、 6の「伝聞」が正解。文脈的にも と訳すので、 「伝聞」と判断できる。

む と思へど」=「死の

解答

直前の「ぬ」が完了の「ぬ」の終止形なので、伝聞・推定

㋙ 誰の所へ身

う と思うけれども」となり、7「意志」が正解。

単純に

「消え失せぬなり」=「消え失せてしまうそうだ」

10「推量」では弱く、 9「当然」が正解

※「出掛けよう」な ※ 反語とわかる訳でない

。ここでは選択肢

助動詞「る」 「ら

0点

。 「と

99

P OINT

傍線部⑤ 身」でないのは えて」の部分が「心 かくぞいはるる」=「 助動詞「る・ら 」の四

1 受身「 (~に 場合は文脈判断になる。 2 尊敬「お~になる・~なさる」 できない」という不可能を表す。鎌倉時代以降は単独で可 4 自発「 (自然と うのが曲者。一般的には「思ふ(思ひ出づ・思ひ知る・思ひ嘆く) る「心」に関係する語が上にあると「る・らる」は自発になるが、最 気をつける。 3 可能「~できる」

)~される」

)~する」

➡下に打消語を伴って使われる場合が多いので、 結局

になっているのを見

➡「~に」の部分が文中にあれば識別 ➡「心情語+る・らる」という公式がすべてだが、この心情語

➡主語が偉い人。ただし、主語は省略される

解答

①=4

②=9

③=7

④=6

悲しうおぼ

⑤=5

100

第7講  『蜻蛉日記』

問七 なった母親のことに 「死にたい」と思った のであって、 「親しく語ら くの島の話を聞いて、その場所

内容合致 1 は、内容的に特

5 は、

あくまで筆者の身体 「親しく語らう」

2 は、 「自分の葬

6 は、 「生気を取り戻した」

「生き続けたい

は、

解答

3 は、 「亡く

101

このうち、 『土佐日記』 『蜻蛉日 日記文学最初の作品である『土佐日記 今和歌集』の撰者としても有名。また、 『古 『蜻蛉日記』の筆者、藤原道綱母は夫藤原兼家の 葛藤、一人息子道綱との生活を日記に赤裸々に書き で、上位大学好みの出典 いえる。できれば田辺聖子さ を読んで、 『蜻蛉日記』の内容を大筋理解しておいてほしい  『更級日記』の筆者 手に入れて、大喜びで読みふける場面が有名だ。入試出典としても上 についても内容は理解しておくことがのぞましい。 出 典 解 説

平安時代の日記を

『土佐日記』

か 『蜻蛉日記』 げ の

菅 すがわらたかすえのむすめ 原孝標女

『和泉式部日記』

は、菅原道真の子孫で、大変な文学少女だった。 『源氏物語』を

れ 墨

『紫式部日記』

『更級日記』

、 ぬ

『讃岐典侍日記』

き ぬき

102

第7講  『蜻蛉日記』

第7講

問七

問六

問五

問四

問三

問二

問一

4 ㋘ 母の葬儀を全部し終わった。 誰の所へ身を寄せようというのだろうか ㋓ ㋒ ㋙

も の を 語 ら ひ お き な ど す べ き 人

1

4

4

4

4

5

9

6

2

7

1

6

各2

6

4

2

5

2

6

30 点

5

6   

103

さいふいふも、女 りけるを、久しうわづ ころほひ空しくなりぬ。さ わびしきことの、 世の常の人に あまたある中に、これはおくれじお 惑はるるもしるく、いかなるにかあらむ 手などただすくみにすくみて、絶えいるやう にす。さいふいふ、ものを語らひおきなどす べき人は京にありければ、山寺にてかかる目 はみれば、幼き子を引き寄せて、わづかにい ふやうは、 「われ、はかなくて死ぬるなめり。 かしこにきこえむやうは、 『おのがうへをば、 いかにもいかにも知りたまひそ。この御後の ことを、人々のものせられむ上にも、とぶら ひものしたまへ』ときこえよ」とて、 「いか にせむ」とばかりいひて、ものもい れずな

第7講『蜻蛉

たが、 世間の人がなさる以上 盛大に行ってく さい』と申し上げて ください」 言った後 「どうしよう」と言ったきり 口もき くことができなくな てしまった。長く患った後に亡くなって しまった

それにしても、母 まった。まったくどうしよう 普通の人とは比べものにならない れていた通り、どうしたわけだろうか、手 で、息も絶えそうになった。そうなり がらも ことを相談すべき な目にあったので、まだ幼いわが子(=道綱)をそばに せて、やっとのことで言ったことは、 「私は、このままむな く死ぬでしょう。 ことはどうなっても構わないでください。 ただ 母には

その母も 取り残されまい、一緒にあの世へと心

母の ことは、今はどうしようもないことだとあきらめ

長く患った末に、秋の初

夫の兼家は

お父様に

伝えていただきたいことは、 『私の

京にいたし、

私は 山寺でこのよう

私の母の葬儀を

私も 生きてい

肉親の

中で、

104

りぬ。日ご 人をば、いまは これにぞ皆人はかか む。などかくは」と、 ふ人多かり。ものはいはね 目は見ゆるほどに、いたはしと りきて、 「親はひとりやはある。な あるぞ」とて、湯をせめて沃るれば、飲 どして、身などなほりもてゆく。さて、なほ 思ふにも、生きたるまじきこ ちする 、こ の過ぎぬる人、わづらひつる日ごろ、 な どもいはず、ただいふこととては、 くもの はかなくてあり経るを夜昼嘆きにしかば、 「あ

はれ、いかにしたまはむずらむ しばし ば息の下にもものせられしを思ひ出づるに、 かうまでもあるなりける。人聞きつけてもの したり。われはものもおぼえねば、知りも知 られず、人ぞ会ひて、 「しかじかなむものし

て、 私のほうに うしようか。ど き惑 人が大勢いる どうしてこのようであるのか」と ぎ込むので、 回復していく。さて やはりどう思っても 気がしないのは、この亡くなってしまった ろに、他のことは何も言わず、ただ言うこととして ねがねこのように頼りない生活を続けていることを絶え ていたので、 「ああ、 と、たびたび苦しい息 下から言われたのを思い出すと、絶え 入るくらい切なくなってしまうのだった。 「これこれの様子でいらっしゃいます」 と言うと、 目は見える。そこへ、 て訪ねて来た。私は意識がはっきりしな の 、 何もわからず、 侍女が て来て、 「親は

夫は 泣いて、穢れも気にせず入って来ようとする様子だったの で、 「とんでもなく不都合でございます」などと

会って、

人々はかか 母親 一人だけだろうか、いや、そ 私は それを飲んだりしているうちに、体が

あなたは

私は 口はきけないが、ま 私を 気の毒だと思ってくれる

これからはどうなさることだろう」

夫の兼家が

母が 、患っていたこ

侍女たちが

父が 近寄っ

聞きつけ

私が か

105

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